08アイちゃん
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アイちゃんを助けられそうに無い時、争いの無い安全な場所をイメージして送り出すに違いない。
それはあのゼロポイント、演算ユニットが最初に起動した、あの場所、あの時間だった。
(漠然と安全な場所をイメージした時、演算ユニットはあのゼロポイントに出現させる、あそこが空間も重力も一番安定しているから)
「じゃあこれも教えてあげる、貴方と私を助けてくれたのは同じ人なの、名前は「テンカワ・アキト」って言うのよ」
「さっきのおにいちゃん? あのおっきいおにいちゃんも?」
「ええ、貴方を背負ってここまで連れて来た男の子、あの子もテンカワ・アキト、10年後、貴方を助けた人よ。私はアキトを助ける為に、この時代に戻って来たの。それと私達を助けてくれた人の中にに「イネス・フレサンジュ」って言う人がいたわ、その人も助けてあげるの」
ニッコリと笑って、アイちゃんを撫でるラピス(母)。
「おばさん、わたしもフレサンジュ」
「そう、貴方はイネス・フレサンジュ、お母さんの付けたあだ名がアイちゃん、うふっ、その節はお世話になりました」
指を着いて頭を下げるラピス(母)、何度も見られる光景では無い。
「いえいえ、こちらこそ」
大人の真似をして、同じように頭を下げるアイちゃん、物覚えはいい方らしい。
「うふふっ」
「あははっ」
アイちゃんは、こちらに来て初めて笑顔を見せた。
「火星で戦争があったのは覚えてる?」
「うん」
「あなた自身はジャンプできたから、アキトと一緒に逃げられたの、でも火星産まれじゃない貴方のママは、ジャンプできなかったの」
「え?」
「辛い話だけどよく聞いてね、あの後火星では、ほとんどのヒトが死んでしまったの、多分、アイちゃんのパパやママも」
「う、うえぇ〜〜〜〜」
一番聞きたくなかった話をされ、ただ泣くしかできないアイちゃん。
そこで自分がイネスにして貰ったように、抱き締めて頭を撫で、背中をさすってあげる。
「アイちゃんは、パパやママと一緒に死んだ方が幸せだった?」
しばらく考えていたが、子供らしい率直な答えを出す。
「こわい、しぬのこわい!」
「そうね、死ぬのは怖いわね、私達は送り出してくれた人のためにも、しっかり生きて、幸せにならないといけないのよ」
自分に言い聞かせるように、優しく語りかけるラピス。
「結局、火星で生き残ったのは、アキトとアイちゃんだけだった。その後も戦争で沢山、沢山ヒトが死んだわ、でもそれは未来の話、これから変えていけるのよ。あと2,3年したらママにも会える、パパとママを安全な場所に逃がす事もできるのよ」
「ほんと!」
「ええ、私達が力を合わせれば、歴史を変えられるの、戦争が始まるまでは、まだ10年あるわ」
「うん」
「これから色々な事を教えてあげる、ボソンジャン
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