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ラピス、母よりも強く愛して
07ユリカママ
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リカ抹殺機能、虐待機能オン、アイハブコントロール)
 命と引き換えに、ユリカの母はオモイカネシリーズがコントロールするロボットと化した。

「ママ、ママ?」
 病室に到着し、試しに母を揺すって起こしてみるユリカ。
「……ユリカ?」
 そこでユリカの母は、まるで計ったように目を覚ました。
「ママ〜〜〜〜!」
「えへっ、良かった、おばさんが元気になって」
(ああっ、アキトが喜んでるっ)
 傍目に見ると、二人の友達が貰い泣きしているように見えたが、ラピスにとって目の前の感動の対面など、ど〜〜〜でも良い事で、隣にいるアキトが喜んでいるのだけが幸せだった。
 そして監視小屋で映る映像も、いつも通りアキトの喜びの涙で満たされた笑顔になり、各基地のラピスたちもその笑顔に釘付けになっていた。
「「「「「「「アキトが笑ってる…… あのユリカの母親が治っただけなのに、こんな良い笑顔で笑ってくれるなんて……」」」」」」」
 木星圏ではラピスの心拍の異常に合わせて、ちょっと衛星イオで火山爆発が起こったり、月がダンスして地球から裏側が見えてしまったり、火星の重力が弱体化したり、人工天体にされた冥王星でも楽しいイベントが目白押しだった。

「ありがとう、ラピスちゃん」
 医師や看護師の目を気にして、ラピスが投入したナノマシンのことは話せなかったが、一応礼を言うユリカ。
「そうね、みんなで「お祈り」したのが良かったのね」
 どちらかと言えば、実験台にされた多くのヒトを生贄にしたサバトのような儀式だったが、何かの神に祈った所は間違いではない。
「うん、よかった」
 こうしてユリカの母は、ラピスの道具に成り果て、今後ユリカを監視したり、虐待するため存在になった。

 後日、ミスマル邸
「ユリカ、これは何?」
 退院後、急に教育熱心になったユリカの母は、幼稚園児を学習塾に通わせ、近所の低俗な子どもとは遊ばせなくなった。
 そして「お入学」の準備のために通わせている塾の成績が悪かったので、ユリカを正座させて説教を始める。
「貴方は選ばれた人類なのよ? ミスマル・コウイチロウと言う軍のエリートの娘、貴方も上級国民の一人である自覚を持ちなさいっ!」
「キャッ!」
 挨拶代わりの軽いビンタから蹴り、以前の自由奔放に育ち、娘馬鹿の父親に甘やかされるだけ甘やかされ、その才能を伸ばしたた少女はこの世界からいなくなった。
 ラピスやアイちゃんだけでなく、教育ママから虐待を受け、遊ぶことも許されないような気の毒な少女が一人生まれた。

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