06アキトに憑依している悪魔
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、ううっ! うわああああああ!」
ラピスは、アキト以外のヒトに初めて温もりを感じ、堰を切ったように泣き始めた。
それは生まれ変わって、アキトと共に人として育った為か、全てを語った上で、同じ思いを抱く協力者を得た喜びによる物か、まるで普通の子供のように泣き続けた。
(きっと幸せに?)
アキトの母が言った言葉に既視感を覚えるラピス、それは過去に戻る時、自らがアキトの母となってアキトに語りかけた言葉だったが、その記憶はデータバンクにも存在していない。
しばらくして、ラピスも母も、落ち着きを取り戻した頃。
「取り乱してごめんなさい、叔母様」
ラピスを抱いたまま、泣いているアキトの母。
「いいのよ、でもアキトが、そんな事に」
普通なら、全て信じられない説明だったが、立て続けに証拠を見せられ、疑う余地は無くなっていた。
「未来の私は、IFS強化人間として製造されましたが、アキトに救い出され、初めてヒトの暖かさを知りました。それからの私は、五感を失ったアキトの目となり、耳となり、手足となって、ずっとユリカさんを追う手助けをしていました」
「そうだったの、ありがとう。アキトの為に色々してくれたのね、でも、そんな結末になるなら、遺跡なんか発掘しなければ良かったっ」
床を叩き、自分のして来た事を後悔するアキトの母。
「いいえ、ヒトが火星に来た時から、時計の針は動き始めました。叔母様がやらなくても、誰かが発掘して、同じ事が起こったでしょう。今も本当なら、月から木星に逃れたヒト達が、異星人の生産プラントを稼動させ、復讐のための兵器を作り続けていたはずです」
「木星?」
「ええ、月の独立戦争後、独立派は火星に逃れ、そこで核攻撃を受けました。その痕跡はご存知ですね?」
放射線、爆発跡、思い当たる物はいくらでもあったが、それらはテラフォーミングの一環として説明されていた。
「彼らは木連と称し、2195年、火星に侵攻するはずでした。そして、ジャンプで難を逃れたアキトとアイちゃん以外の火星居住者は、全て死ぬ予定でした」
「じゃあ私達もその時、死ぬはずだったの」
「いえ、叔母様と叔父様はその前に…… その時どうするかは、また相談しましょう。そして今は、別の私が木連を管理しているので、殺戮は行わせません。これも全て未来のアキトが願った事です」
「そう、何だかアキトらしいわね、ユートピアコロニーの人だけじゃなくて、全然知らない人まで助けたいなんて」
「ええ、全てはアキトの願いを叶えるためです」
強力な力を持つ魔女、子供の形をした化け物か悪魔を目の前にしていたが、アキトの母は優しい目でこう問い掛けた。
「じゃあ、貴方の願いは?」
「えっ?」
頬を赤らめ、うつむいてしまうラピスを見て、やっと子供らしく感じるアキトの母。その魔物は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ