03月都市
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それを聞き満足するラピス。
「そうだ、それでこそ戦争だ、オモイカネ達の判断は変わったか?」
『現在、人類絶滅に賛成が80パーセント、反対が14、中立が6です』
民主主義、資本主義の時代に入り、虐殺や略奪が減り、初めて人類絶滅に反対するオモイカネが上回ったが、月に来て異教徒や異星人でも狩るような地球人を見て、賛成する者は最高に達していた。
「ユーチャリス、お前はそれでも中立なのか?」
『はい、私はテンカワ・アキトと、眠っている貴方の裁定を待ちます』
反対のオモイカネは、人類から選び抜かれた、聖人、聖者、福者「いいひと」を収容したコロニーを管理していたが、中立、賛成のオモイカネは、過去の戦争や虐殺、災害で死亡するはずだった、一般人を収容した難民コロニーを管理していた。
その後も歴史通り順調に戦闘が続き、数箇所の都市が破壊されると同時に、数多くの偽の死体が準備された。
脱出当日
『脱出まで1800秒』
オモイカネのタイムカウントが進む中、各家庭では衝撃に備え、ゲル状のシートに座り、持ち込んだ家具類も固定されていた。
『1200秒』
船を出す時も、仕込んだ時と同じように、ボソンジャンプで火星でも木星でも、好きな所に行けば済む話だったが、これは後世まで語り継がれる大脱出劇でなければならない、宇宙船は重力制御を切られ、ただの「絶叫マシーン」に成り下がっていた。
『600秒』
その頃、最前線の都市では市街戦が行われ、残った兵士が死力を尽くして、脱出船の援護をしていた。
「後10分だ! それまで何としてもエレベーターを守れ!」
捕虜になる予定の兵士は地上に残され、「箱舟」の記憶を消した後、地球人に引き渡される。
『抜錨、箱舟発進』
船の周囲をディストーションフィールドが覆い、都市の上空にジャンプする、その間乗員は、何故か強烈なGと振動にさらされていた。
「うわああああ!」
「喋るな!舌を噛むぞ!」
などと、お約束の会話があり、脱出「ごっこ」ではない大脱出劇が開始された。
今まで作った数億隻の戦闘艦を持って来れば話は早いが、地球側に悟られず、これから生まれてくる今のアキトが「燃える」展開でなければならない。
船内では家具は飛び出し、洗濯機が歩き出す、中には軽い負傷を追うモノも多かったが、ラピスにとっては統計の数字に過ぎない。
その時、月と太陽を掠める、巨大な黒い物体を見た、不幸なパイロットがいた。
「何かいる!星が見えない!センサーにも反応は無いが、俺の前を何かが飛んでる!」
擬態の内側に入り込んでしまったパイロットは、オモイカネにアブダクトされ、キャトルミューティレーションもされて、記憶操作を受けてから帰された。
多くのゴミを回収し、廃棄も削除もせず、生かし続けているラピス。
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