暁 〜小説投稿サイト〜
ラピス、母よりも強く愛して
02生産プラント
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

(コピー元のオリジナルが壊れている)
 ユーチャリスは心の中で泣いた。涙の流せない電脳が、冷酒をあおって、おでん屋の屋台で管を巻いて、塩を撒いて追い返されるまで泣いた。

 その後プラントは3人のラピス?に解析され、全てがその支配下に入った。
 これだけの施設を使わせてもらうので、異星人からの監視機能は残されていたが、ユーチャリスは、こんな三人を監視されるのがとても恥ずかしかった。
(もしかすると、向こうも同じなのかも知れない)
 思い当たる節は多々あったので、ユーチャリスは次第に「イヤ」な考えになっていった。

 その後、まだ眠るには早いので、全ての生産が順調に進むか、試しに10年後に移動してみる事にしたラピス。
「私は10年後にジャンプする、それまでお願い」
 ウィンドウ越しに、プラントにいる自分達?のコピーに話し掛けるラピス。
「その前に、ご主人様も復活させるですぅー」
 ラピス01はそう言ったが、アキトを物のように作るのは躊躇された。
「そんな、アキトを作るだなんて」
 だが残されるラピス達の士気に関わる問題なので、渋々認めることになった。
「頭の中は擬似人格だけよ」
 ラピス一人にアキト一人が「あてがわれる」事になり、数日後、大人、少年、子供のアキトが姿を現した。
「ご主人様ーー!」
 ラピス01は少年のナカヒト君、もといアキトに抱き付く。
「アキト……」
『待って下さい!そちらはまだ危険です、病原菌のチェックも完全では…』
 止める暇も無く、プラント側にジャンプしてしまうラピス。ユーチャリスも口にはしなかったが、病原菌よりも、3人のコピー?ラピスの方が、遥かに危険度が高かった。
「会いたかった、会いたかったのっ!」
 頭の中では本物とは違うと知っていて、離れようとしたが、体はそうさせてくれなかった。
「ラピス、何が悲しい?」
 アキトの生の声を聞き、温もりや匂いを感じただけで、ラピスは駄目になってしまった。
「アキトーーッ!」
 以後、ラピス02、03の好意により、大人のアキトはラピスに同行する事になった。

 10年後。
 ボソンアウトしたユーチャリスは我が目を疑った、そこには都市では無く、ディ*ニーランドも真っ青な、巨大なテーマパークが建設されていた。
(あの、あほんだらがっ! これやったらボイジャー程度でも、すぐ見つかるやんけっ!(怒))
 ユーチャリスは、自分が関西弁で思考し、以前よりさらに壊れている事に気付いていなかった。
『建設は失敗です… 直ちに基本設計をやり直しましょうっ』
 しかしラピスの答えは、いつも通りだった。
「問題無い、シナリオ通りだ」
『そ、それではリンクを再開します、彼らから通信が入っています』
「「「ラピラピ・ランドへようこそ!」」」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ