01過去への跳躍
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大きくなるっ、私、大きくなってアキトと結婚するっ!」
青年のアキトは、はにかんでいたが、嬉しそうにしていた。
「俺、ラピスの倍は年取ってるぜ? ラピスが結婚できる年になったら、俺30だよ、ははっ」
もうアキトに年齢など無い、無邪気な疑似人格は、ラピスの心を締め付けた。
「合わせるから、私、アキトに合わせるから、何歳ぐらいがいいの?」
「そうだな、年上はユリカやイネスさんで懲りてるから、少し年下か、同じ年ぐらいがいいな」
「うん、うんっ」
ボロボロと涙を流し、ベッドの上で仰向けになって、ウィンドウを愛しげに抱きしめるラピス。
そうやって一時間以上、疑似人格と話していたが、薬の作用も収まったのか、生気を取り戻しベッドから起き上がった。
「ユーチャリス、現状報告」
『はい、彼らは私に、ある交換条件を提示しました。彼らの法ではタイムパラドックスを起こす事は禁じられていますが、我々はその規定に縛られる事はありません。この太陽系は壮大な実験場となるのです。ラピス・ラズリ、貴方は歴史を変えますか? それとも彼にだけ会いに行きますか?』
今回もユーチャリスは、何かの指示を受けているように思えたが、ラピスは彼らの誘いに乗る事にした。
「過去に、いえ、未来に戻ります。アキトの望みを叶えましょう、ジャンプの準備を」『了解』
ラピスが生きる希望を持ち始めたようで、少し安心するユーチャリス。しかしまた自殺を考えるようなら、ジャンプを阻止しなければならない。
『……以上のように、正確なジャンプにはゲートを開き、貴方とその空間を入れ替えなければなりません。 最初は彼らが一度だけ未来へのジャンプを許可し、補助してくれます、よろしいですか?』
「ええ、行きましょう。その前に、彼らに感謝の言葉を」
『わかりました… 彼らから「彼との再会を果たされる事を祈る」と伝言です』
「ええ、きっと」
目標をイメージすると、ラピス瞳孔の円周上に光が回転し始めた。
「目標、未来の木星衛星軌道。西暦0年」
この頃、ユーチャリスは、不完全なボソンジャンプの副作用が、あのギャグキャラ達をシリアスキャラへと変えた事を知らなかった。
「ゲート! オーープン!!」
片手を前に突き出し、キャラ設定つながりで「ゲート(笑)」を開くラピス。
『は?(汗)』
ラピスの行動に違和感を覚えるユーチャリス。そしてラピス自身も、自分達がジャンプを繰り返すたび、確実にギャグキャラへと崩壊して行くとは、夢にも思っていなかった。
ユーチャリスの前方で空間がゆらぎ、ラピスの瞳の中と同じ、金色に輝く円が回転し始めた。
(アキト、必ず迎えに行く……)
ゲート能力者? となったラピスは、未来の木星の生産プラントを目指して消えて行った。
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