第100話 明かされる真実と括られた腹
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ことを、俺は口にする。
「いくつか聞きたいことがある。古我知さんのこと――何か知ってるのか?」
「……本人に聞くといいわ。そのうち、彼に会う時が来るはずよ」
「――もう一つ聞きたい。後で話すと言っていた、電子制御室であんたがやっていたことだ」
「『賭け』よ。もし凱樹が暴走した時、それを止められるかどうかの――ね」
「……最後に一つ。あんたが頻繁に飲んでいた、あの薬みたいなのは何だ?」
「……自分で作った、アドレナリンの増強剤よ。あれを飲まずに生きていける程、心は強くないもの」
「それは、瀧上さんがいるからか? ――だったら、明日からは要らないな」
最後にそう言い切って、俺は今度こそ所長さんの前から立ち去った。
扉が閉まる瞬間に聞こえた、彼女の泣き声。それは絶対に、気のせいではない。
……聞くことは聞いた。しなくちゃならないことも決めた。
後は――やるだけだ。
「――日本政府も、救芽井エレクトロニクスも、瀧上さんも、茶々の入れようがないくらい……ブッちぎりで俺が『勝つ』んだからな」
誰もいない空間で静かに、それでいて唸るように、俺は人知れず腹を括る。
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