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真田十勇士
巻ノ百十九 大坂騒乱その一

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              巻ノ百十九  大坂騒乱
 片桐と大蔵局はまずはすぐに茶々と秀頼の前に参上した、それですぐに駿府でのことを話したが。
 大蔵局は満面の笑顔でだ、茶々に話した。
「方広寺の件ですが」
「どうなったのじゃ」
「はい、大御所殿は最初のお話で」
 家康、彼はというのだ。
「納得して下さいました」
「そうなのか」
「はい、あいわかったとされ」
「このことはとか」
「言われました」
 こう茶々に話した。
「それからは宴で」
「楽しんできたか」
「実に」
 舞楽に駿河の山や海の幸でだ、大蔵局はそうした贅を尽くした宴を受けて心から楽しんできたのだ。
「そうして頂いていました」
「それは何よりじゃな」
 茶々も大蔵局の話に笑顔で応えた。
「方広寺の件がな」
「終わったことが」
「何よりじゃ、ではな」
「はい」
 片桐は自分に笑みで顔を向けてきた茶々に神妙な顔で応えた。
「それでは」
「お主は本多殿、崇伝殿とじゃな」
「お話をしてきました」
「そうであったな、では」
「方広寺の件は」
 それはというと。
「別にです」
「何もなしか、ではよい」
「いえ」
「いえ?」
「お二方に言われたのですが」
 正純、そして崇伝にとだ。片桐はすぐに答えた。
「切支丹の件ですが」
「切支丹とな」
「はい、それはならぬと」
 断じて、というのだ。
「お話されていました」
「何っ、切支丹がいかぬと」
「はい、その様にです」
「本多殿と崇伝殿が言われたのか」
「幕府としてはと」
「?それは」
 大蔵局は片桐のその言葉に眉を顰めさせた、だが今は片桐が話しているので言うのを止めた。
 そしてだ、片桐は茶々にさらに話した。
「それだけはと、そして」
「まだあるのか」
「大坂からです」
 まずはこのことから話した。
「出られて」
「何処の国に行けというのじゃ」
「そこまではわかりませぬが」
 しかしというのだ。
「ですが」
「それでもか」
「はい、幕府としてです」
 即ち家康もというのだ。
「そう言われています、それに」
「それにとは」
「茶々様も」
 その茶々に言うのだった。
「江戸に入られて」
「他の大名達の妻子の様にか」
「江戸のお屋敷に住まれてはとです」
「言ってきたのか」
「そうです」
「方広寺はどうなったのじゃ」
「ですからそれは終わりました」
 ことなきを得たとだ、彼はまた話した。
「お話させて頂いた様に」
「ではよいではないが」
「それとはまた別に」
「切支丹とか」
「はい、その二つのことも」
 国替えと茶々の江戸入りのこともというのだ。
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