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あの人の幸せは、苦い
2. 胸が、少し痛い
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ハルと球磨を包んでいる。

「おめでと! ふたりともおめでとう!!」

 私もクラッカーを鳴らす。二人ともおめでとう。私は心からそう思い、二人の幸せを祝福した。

『ねーハルー!?』
『なんだよ妖怪夜戦女!?』
『いつになったら私とさー。夜戦してくれるの?』
『そんな日は永遠に来ないと断言してやるっ』
『じゃさじゃさ! 二人の結婚式の時に夜戦を……』
『二人って、誰とだよ?』
『ハルと……球磨の』
『それこそ永遠にないわッ』

――冗談でも、私は信じてたよ

 記憶の中に鮮明に残る、あの日の言葉を信じて待ち続けた私の心の声には、気づかないふりをして。

「ありがとな川内!」
「んーん。本当におめでとうハル!!」

 そう言って笑うハルを、私は見つめ返す。二人が纏うのは、今となっては懐かしい、火薬の香り。

 そんな、二人にとっての幸せの香りは、私には少し、きつかった。


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