第98話 閉ざされた世界、開かれた蓋
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そして――その顔色に俺が眉をひそめるより早く、鉄の棺桶に変化が訪れた。
ゴウンゴウン、という重々しい機械音が部屋中に響き渡り、その鋼鉄の蓋が……二つに割れようとしていたのだ。さながら、封印から開かれる扉のように。
「これは、一体……?」
「すぐにわかるわよ。受け止めるには、時間が掛かるでしょうけど」
その音が止み、この部屋が再び静寂に包まれる瞬間。それは、この黒鉄の扉が完全に開かれた時を意味していた。
そして、その中に閉ざされていた存在に、俺が驚愕して目を見開いた瞬間――
「さて、ここまで見たからには話は全部聞いてもらわなくちゃね」
彼女は口を開き――
「まずは単刀直入に言っておくわ」
――豊満な胸を寄せ上げるように、腕を組み――
「明日のコンペティション……あなたには、必ず勝って欲しいのよ」
――商売敵の人間として、有り得ないことを口にしていた。
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