第93話 水上バレーと友情プログラム
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「ふふん、矢村よ。もう今の俺は、中学時代にお前に顔面スパイクを決められていた昔の俺ではないッ! お前の方こそ、今のうちに負けの言い訳を――ぶばばばばば!」
「――言うてくれるやんっ! そこまで自信満々なんやったら、一発ドギツいヤツかましたるけん、覚悟しときぃよっ!」
ことスポーツにはやたらと強気な彼女には、これくらいの挑発がちょうどいい。俺は小柄な少女のものとは到底思いがたい力で頬を抓られつつも、矢村をその気にさせることができた。
「……なるほど。あの娘達四人を全員組ませて連帯感を出すことで、友人としての輪を作る……ね。あなたも粋な計らいするじゃない。嫌いじゃないわよ、そういうピュアなとこ」
「――ホンットに何もかもお見通しかよ、気味が悪いな。あんたも妹のためだってのがわかってんなら、マジメにやってくれよ?」
「もちろん。だけど、それだけじゃ私的には盛り上がらないのよねぇ。もう一押し、『ご褒美』がいるんじゃないかしら?」
「はぁ?」
所長さんは、これが全て四郷のための段取りだとは気づいている……らしいが、それに協力する以外にも、俺の思惑から外れたことを企んでいるようだ。今までが今までだから、どうしても目を細めてしまう。
そんな彼女が目を向ける先は――イマイチその気になっていない様子の、救芽井だった。
「いい!? ここまで言われてもーたからには、一発かまさな女が廃るで! 是が非でも龍太のバカに、女の意地を見せたるんやでっ! 四郷、救芽井ッ!」
「ちょっ……なんでワタクシは除外ざますかっ!?」
「……女をナメたら……どういうことになるか教え込む……」
「――はぁ。龍太君と戦うのかぁ……私。ちゃんとやれるのかしら……?」
少し離れた向こうでは、イカダの上で矢村が仕切る四人組が円陣を組んでいた。おぉ、さすが体育会系……。
しかし、その中では救芽井はあんまりやる気がなさそうだ。遠目に見ても、微妙にうなだれたような姿勢が目に入ればよくわかる。
連帯感を出して、四郷にみんなとバッチリ馴染んでもらうには、全員がその気になる必要があるはず。
特に、元々四郷を珍しい機械のような目で見てる節があった救芽井には、彼女の人間らしいところを、同じ気持ちで同じ時間を過ごすことで、是非とも理解してほしいところ。だけど、どうしたものか――
――と、俺が考えあぐねていたところへ。
「そっちのチームのみんなっ! もし勝てたら、全員龍太君との添い寝を許可しちゃいまぁーす!」
……所長さんがとんでもない条件ブッ込んできたァァァァァッ!?
「ブルハァァァッ!」
しかも茂さんが血ィ吐いてブッ倒れたァァァァァッ! まだゲームが始まってすらいないのにッ!
「よし、行くわよみんなッ! 勝
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