第91話 どうせなら、仲良しの方が
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「お婿に行けぬ……」
未だ激しく照り付ける太陽。焼けるような熱気を上げる砂浜。天の輝きを浴びて、ますます煌めきを増す蒼い海原。
そんな中で俺がふと零した一声が、それであった。
あの後、俺はみんなに状況を報告し、例の件に関しては一旦保留ということになった。
一応は超人的な能力を持てる「救済の超機龍」はもちろん、「新人類の身体」もこの場にいるのだから大丈夫……という俺の主張もあるにはあったのだが、何より所長さんが強くそれを推していたのが決め手となったのだろう。
「せっかくのバカンスなんだから、水入らずで楽しまないと! あ、海には入るわよ?」などとはしゃぎ回る彼女に流されるかの如く、みんな元通りの雰囲気に戻っていったのだ。
確かに気掛かりではある……が、大方予想はつく。なぜコソコソしてるのかはわからないけど、な。
――そんなことより。
「見ましたのね? 見たざますね!? このワタクシでさえ、まだ一度もお目にかかれていないといいますのにぃ!」
「救芽井っ! あ、あんた、あんなところで、りゅ、龍太にあんなっ……!」
「うわあぁん! 違うのよっ! あれは、じ、事故でたまたまぁぁ……」
目の前で起きている凄惨な古傷えぐり祭りを、誰かなんとかして頂きたい。不審者の件より、まずこっちを水に流せよッ!
救芽井は矢村に羽交い締めにされた状態で、狩人の眼差しで迫る久水に尋問を受けている。というより、あの白い胸を揉みしだかれている。
顔を赤らめて怒っているようで、その実、興味津々な視線を彼女に向けている矢村。ナニを想像しているのか、眼前の薄い桜色の唇に、対象の胸を揉みながら全神経を集中させている久水。どっちもとんでもない方向に勘違いしているという事実は、明白だろう。
そんな羞恥地獄にブチ込まれている以上、愚痴の一つも言いたくなる。ゆえに俺は、呟くのだ。
「お婿に行けぬ!」
「……さっきも聞いた……」
「大事なことなので二回言いましたッ!」
一方、後ろの方では、相変わらず四郷が読書に興じている。海に来た意味、全否定してません……?
「それより一煉寺龍太ッ! 貴様、とうとう樋稟と……ワガハイの樋稟とッ……!」
「違うって言ってんだろ! なに血涙になって縋り付いてんだよ、離れろ! また海パンがズリ落ちるぅぅぅ!」
「こうなれば、こうなれば! 貴様のフルンティングを介して樋稟と間接キッ――げぶら!」
「……滅殺……」
――ま、なんだかんだで助けてくれるから良しとしとこう、かな? それでも背中の巨大マニピュレーターで生身の人間をブッ叩くのはやり過ぎな気もするけど。
「……さぁーってと! じゃあみんなで、また海に行きましょうか! 今度は水上バレーよっ!」
「むっ……所長
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ