暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第90話 森の中の変態
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 俺がブッ飛ばされてからも、約二十分に渡り続いていたビーチバレー大会は、どうやら救芽井組の勝利に終わったらしい。

 終始やけに茂さんにスパイクが集中しているような気がしていたが、焼きたてのパンさながらに晴れ上がった彼の顔を見る限り、俺の思い過ごしではなさそうだった。
 まぁ、上下に揺れる四大スイカを間近で見られたんだ。よかったんじゃないか?

 救芽井と矢村はキャッキャとはしゃいでハイタッチを繰り返し、久水はただでさえパン系ヒーローみたいになっている兄の顔に、容赦なくヤキを入れている。……前言撤回、やっぱりこれはエグい。

 しばらくすると、審判役だった所長さんが胸元に忍ばせていた二枚の写真を取り出し、勝者二人にそれを差し出した。彼女達はぱあっと明るい顔を見合わせ、同時にそれらを受け取る。久水はそれを前に「キィ〜ッ!」と唸りを上げ、兄への八つ当たりを更に強めていた。
 ……どうやって撮ったのかは知らんが、その写真を好きにさせるわけにはいかん! 今こそ全身全霊を懸けて処分してや――

「所長! これはどういうことですか!」
「こんなん納得いかんっ!」

 ――って、どうしたんだ一体? 二人とも、なんだか不満げな声を上げて所長さんに詰めかけている。
 俺は帰還していたパラソルの影から顔を出し、彼女らの会話に耳を傾けた。

「どう……って、約束通りの悩殺ブロマイドじゃないのよ。ご不満かしら?」
「不満も不満、すっごく不満です! なんで一番見たいところが不自然な遮光で隠れてるんですか!? 明らかに人工的なハラスメント問題ですよ!?」
「アタシのなんか『見せられないよ!』なんて意味わからん自主規制されとるんやけどっ!」

 ……し、深夜アニメェェェッ!?
 なんだ不自然な遮光って! 一体それでどこ隠してんだァァァァッ! つーか、お前の頭の方が遥かにハラスメントだろうがァァァァッ!
 矢村も矢村で、自主規制君に何かしら阻まれてるみたいだしっ! 一体どんなギリギリ過ぎる写真撮られてんだよ俺はッ!

「しょうがないわねぇ。じゃあ、後で私の書斎に来なさい。無修正版の撮影記録を収録したディスクを販売してあげるから」

 ――ここに来ての円盤商法ォォォ!? 他人の人権代価にして乳首券発行してんじゃねーぞ所長さんッ! いやフルンティング発行券かも知れないけども!

「無修正の販売ですって……!? 聞き捨てなりませんわね! ワタクシが買い占めてさしあげるざますッ!」
「な、なによ! これは私達勝者の特権よっ! あなたには縁のない話だわ!」
「確かに、試合ではワタクシ達の負けでしたわ。ですが! 試合の景品ではない売買契約ということでしたら、ワタクシにも購入権が――」
「あらぁ、それだとわざわざ試合した意味がないじゃない。梢
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