第88話 ドラッヘンパイヤー現る
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世に云う、水着の美女達とのひと時。
その開幕の瞬間は、ジェットストリームアタックで海中に沈められる、というなかなか悲惨なものだった。ビーチから、足が海底に着かない場所まで吹っ飛ばされるとは……。
「ゴボ、ガゴボゴボッ……!」
俺の全身は潮の流れと救芽井・矢村・久水の三人にもみくちゃにされ、ほとんど身動きが取れない状態にある。この状況、世間一般の目から見れば、うらやましいと思える節も、まぁあるにはあるのかも知れない。
――だが、そのうらやましい状況ゆえに殺されそうになっている、という事実に直面しても、同じ考えを持っていられるのだろうか。……とりあえず、俺はノーと言っておく。
「さぁ龍太様、パラソルまで戻りましょうっ! そしてワタクシの全身にくまなくサンオイルをっ!」
「ちょっ……!? あなた龍太君に何させるつもりよっ!? まずは婚約者たる私を通して貰わなきゃっ!」
「マネージャーかあんたは!? そ、それよりど、どうや、龍太……? この水着、かわえぇなって思って選んだんやけど、おかしくないやろか……?」
三人とも水面上で何か騒いでるけども! 現在進行形で海に沈められてる俺にはこれっぽっちも聞こえてないからね! つーかこのままじゃ、明日の朝刊には高校生の溺死体として華々しくデビューしちゃうからね!?
彼女達は俺の腕を引っ張ったり胴体を抱き寄せたりしようとするばかりで、水没寸前の俺を「引き上げよう」とはしていなかった。自力で水面まで上がろうにも、約二名によるおっぱいバリケードにそのルートを封鎖され、身動きが取れない。
「ワタクシが先ざます!」
「私が先よっ!」
「アタシが先やっ!」
そうこうしている間でも、彼女達は人の瀬戸際も知らないで好き放題に騒いでいる。ぐほっ、もう、息がッ……!
――こうなったら、やるしかねぇ……! 仮にも変身ヒーローがやっていいことじゃないかも知れないが……背に腹は代えられんッ!
俺は女性型バリケード三人衆に弄ばれながら、海パンに忍ばせていた「腕輪型着鎧装置」を右腕にセットする。……我ながら、とんでもない場所に仕込んだものだ。
やり過ぎ感は否めないが……「美女に囲まれて溺死」なんて天国に逝っても怨まれそうな死に方なんぞ御免被る!
「びゃぶぶぁい、びゃっびゅう……!」
そして、俺は海中でも音声が伝わるように、腕輪に口元を近付けて精一杯叫び――紅の光、それが作り出すベールに包まれた。
「えっ……!?」
「な、なんやっ!?」
「これって、着鎧の発光――きゃああぁああっ!?」
次いで、俺は真紅のヒーロースーツを纏いながら、酸素の在りかを求めて水を蹴る。もちろん全力で泳ごうとしたら、余波で三人を吹っ飛ばしかねない。
それに着鎧
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