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フルメタル・アクションヒーローズ
第87話 水着回到来
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清々しく澄み渡る大平原の胸元には、「あゆこ」と可愛らしい文字が書かれている。端から見たら、派手な水着ではしゃいでるお姉さん達に圧倒されて、会話に入れない小学生の女の子みたいだな……。――我ながら、なんだその例え。

 ちなみに、茂さんは俺と違ってブリーフタイプの黒い海パンだ。おぉ、風呂の時は湯煙で気づかなかったが、意外にすげぇ筋肉なんだな。……ってか、早速テント張りながら砂浜にはいつくばってやがる。それで殴られてたんだな……おいたわしや。

「――って、ちょっと待って! あそこにいるのって龍太君っ!?」
「あ、ホンマや! おーい龍太ぁっ! こっちやでぇーっ!」
「き、きゃあぁあんっ!? りゅ、龍太様っ!? ま、ま、まだワタクシ、お見せする心の準備がっ……!」
「……梢、もう色々と手遅れ……」
「……お、おおぅ……来たか一煉寺龍太……み、見たまえ……ワガハイの、いや我々の魂を救済する、聖域が広がって……」

 すると、ようやく向こうが俺の存在に気づいたらしく、さらに騒ぎはじめた。……おい、茂さんが末期状態なんだけど。誰も助けに行かないのか。

「ふふっ、ようやく来たわね一煉寺君。やっとお楽しみの時間ってとこかしら?」
「おわっ!? い、いつの間にッ!?」

 眼前の連中の反応に気を取られてる間に、背後を取られていたらしい。いきなり肩を後ろに引っ張られたかと思うと、背中に二つの柔らかい感触が伝わってきた。さらに、細く白い手が俺の体をはい回って来る。
 慌てて首を後ろに向けると、そこにはしたり顔の所長さん。な、なんか肉食動物みたいな目つきになってらっしゃるんですけどッ!?

「し、四郷所長ッ……!? な、な、何をしてるんですかぁあぁあっ!?」
「あ、あ、あ……あかぁぁああんっ! 龍太にそんなこと、したら……したらいけぇえぇえんっ!」
「ちょっ――龍太様ぁっ!? ……ワタクシという者が、ありながらあぁあぁっ!」
「……お姉ちゃん、もぅ……」

 そんな俺の焦燥も事情も、向こうには全く伝わっていないらしい。救芽井・矢村・久水の女性陣三連星が、鬼気迫る表情でジェットストリームアタックを敢行してきやがったッ!?

「さぁ、バカンスの開幕ぅ〜っ!」
「ちょっ……まっ……!? うわああぁあぁああっ!?」

 しかも、所長さんにそれに付き合う気は皆無らしい。女性陣との距離が五メートル辺りまで縮んだ瞬間、パッと俺から離れてしまったのだ。

 ――もちろん、それで彼女達が止まってくれるはずがない。

 俺の体は彼女達もろとも、ド派手に蒼く澄み渡る海原へとトルネードダイブしていくのだった……。

 ……前言撤回。存外に悪いことばっかりでございます……。

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