第87話 水着回到来
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超機龍」の「腕輪型着鎧装置」を用意してきて正確だったかも知れない。いくらなんでも、ここで「闇討ち」はない、と思いたいが……。
「いやねぇ、そんな怖い顔しないでちょうだい。別に取って食おうなんて考えちゃいないんだから」
だが、そんな俺の心境とは裏腹に、彼女は至って平常心な様子。おどけた表情で手をひらひらと振り、さながら俺を宥めるかのような対応を見せる。
「じゃあ、一体ここはどこなんだ? 洞窟探検を所望した覚えは皆無なんだけどさ」
「決まってるじゃない、ビーチよビーチ」
「ビーチ?」
そこまで言われて、俺は初めて気づいた。
この辺り、岩場に囲まれている割にはちっとも暗くない。「薄暗い」という言葉も似つかわしくないくらいに。
……ということは、日の光が差し込んでる、ってことか。この場から少し進んだ先に見える光明に、俺は彼女の言葉が真実である確証を見た。更に、その先から吹き込んでくる潮風。その独特な香りが、信憑性を強調するかのように俺の嗅覚へと信号を送っている。
……なるほど。ここは洞窟というより、研究所から真下に降りた先にある、崖の内側なんだ。エレベーターで崖の中をブチ抜いて下降し、その先にたどり着いた洞窟を抜けたら、崖と繋がっていた海辺にたどり着くってわけか。
「わかってもらえた?」
「ん……なんつーか、ちょっと誤解しそうだった。すんません」
「ふふ、いいのよいいのよ。勿体振ってちゃんと説明しなかった私が悪いんだし。じゃあ私、先に行ってるわね? 一煉寺君も早く着替えて、こっちに来なさい。あなた以外はみんなエレベーターに乗る前から着替えてたんだから」
所長さんは俺の謝罪を手を振ってやり過ごすと、黒いハーフパンツ状の水着を岩場に掛けて、そそくさと光の先へと飛び出してしまった。どうやら、さっきから肩に掛けてたアレはバスタオルじゃなく、俺の海パンだったらしい。
つか、俺以外の連中、どんだけ気合い入ってんだよ……。
その場違いといえば場違いな状況に、俺はある種の微笑ましさすら感じていた。――こういうところは、「新人類の身体」もコンペティションもない、普通の人間同士に見えるんだけどな……。
……さて、ここまで来て俺一人が置いてけぼり、というわけにも行くまい。俺は私服を素早く脱ぎ捨て、所長さんが置いて行った海パンを装着する。
おお、サイズもほぼピッタリ。四郷研究所の科学力ってのは、どうやらいつの間にか人の寸法すら取れてしまうらしいな。
――てことは、救芽井達のスリーサイズもたちどころに……ゲフンゲフン。さ、さて、じゃあそろそろ行くかな。
俺は所長さんの後を追うように光明へ向かい、差し込める陽射しに肌を焼かれながら、さらにその奥へと突き進む。
そして、数秒間に渡るホワイ
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