第86話 四郷姉妹の光と陰
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愛の眼差しとは、どこか違っていたのだ。
そんな中、久水は四郷を大切な友人のように見つめ、彼女の凄さを力説していた。さながら、実の姉妹であるかのように。
――彼女にそうさせる何かが、あったのだろうか。それを知れば、俺も彼女を恐れる心を、その奥底から消し去れるのだろうか……?
「はぁいちょっと失礼するわよっ!」
――そんなことを考え始めた途端、シュッと開かれた自動ドアから、このしんみり空気をブチ壊す破壊神が現れなすった。
性能披露の時以上のハイテンション状態にあるご様子の所長さんは、俺にじっくり考える時間すら与えてくれないらしい。
……というか、最初に会った頃とはまるで別人じゃないか。キャラ崩壊も甚だしい……。
「……なんなんですか一体。つーか、ここってインターホンの類はないのッ!?」
「ふっふん、そんなものは必要ないわ! なにせ私は所長だもの! 一番偉いんだものっ!」
「所長だったらアポなしで個室無断突入オールオッケー!? プライバシーの権利はいずこッ!?」
俺の決死の反論も虚しく、所長さんはただ楽しげに笑うばかり。俺の反応そのものを見るのが楽しみなのだとしか思えない振る舞いだ。
「まぁまぁ、細かいことなんてどーでもいいじゃない。それともなぁに? お姉さんに見せられない何かがあるのかしら?」
「しゅ、宿泊先にまで持ち込むほど飢えちゃいねーよ!」
「あら、じゃあ自宅にはやっぱりああいうのがたくさんあるのね? ジャンルは何? 純愛? 凌辱? 盗撮? 痴漢?」
「全部だ全部ッ――って、何を言わしとんじゃァァァァァッ! そして用件は何だァァァァァッ!」
自分でもわかるくらいに顔を真っ赤にして、俺は自分の大切な何かを暴いてしまった所長さんに八つ当たりを敢行してしまう。一方、彼女は明らかに自分に原因があるというのに、涼しい顔で「まぁ熱くならずに」とぬかしていた。アンタマジで覚えてろッ!
「そんなに怒っちゃやーよ。……そうね。用件、って言うなら『お誘い』ってとこかしら?」
「ぜぇ、ぜぇ……お、お誘いだぁ?」
「そう! この近場の海、おっきくて綺麗だったでしょ? せっかく午後はずっと休みなんだから、たまにはあなたも永久貸し切りビーチでバカンスを満喫してきたら? あなた以外の救芽井エレクトロニクスのメンバーは、みんな私服に着替えて出掛けてるわよ?」
「……あーもう、ちょっとは休ませてくれよ。こっちは色々と思うところがあって、しばらくは横になりたいんだ。それに、俺は水着なんて持ってない」
「水着なら、こっちでバッチリイケてるのを用意してきてるから大丈夫! あ、そーだ! たった今仕入れた一煉寺君の新着情報、乙女の園に速報でお届けしなくっちゃ〜」
「わかった! 行く! 行きますからァッ! 四十
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