第83話 俺の社会的生命終了のお知らせ
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「おい、どうしたッ!?」
息せき切って食堂へ急行した俺を待ち受けていたもの。
それは、飲み物が入っていたコップを落とした三人の少女が、床に倒れ伏している光景だった。
倒れているのは救芽井・矢村・久水の三名だけで、他のメンツは全員ケロリとしている。もっとも、茂さんだけはかなり取り乱している様子だが。
「梢ッ!? 樋稟ッ! どうしたというんだ、これはッ!」
「茂さん、一体何があった!?」
「わからない! 急に三人とも倒れてしまって……!」
ひどく狼狽してるところを見ると、茂さんにも状況はわからないらしい。身体を揺さぶりたいが、それをやるとかえって危険ではないかという不安に圧され、動けずにいる――という感じだ。
俺としても、変に刺激するのは避けた方がいいかもしれないとは思う。……しかし、救芽井達の安否も十分気掛かりだが――
「説明してもらうぞ、所長さん!」
――彼らの関与を確かめなければならないというのも、また事実だ!
俺は有事に備えて真紅の「腕輪型着鎧装置」を構え、瀧上さんの後ろに立っている所長さんを見据える。四郷も、瀧上さんも、伊葉さんも、そして所長さんも、この事態に動じている様子はなかった。
仮に三人がブッ倒れた理由があのジュースにあるなら、誰を疑うべきかはすぐにハッキリする!
「茂さん、三人の容態は!?」
「意識はないが――呼吸はしているし心臓も止まっていない! 眠っているのに近い状態だというのか……?」
いざとなれば、「救済の超機龍」に搭載されている応急処置セットで三人の回復を試みる。俺はその準備を整えつつ、狭い空間の中で四郷研究所の関係者達と相対した。
「三人の盆にあったジュース。あれは、本当にただのジュースだったのか?」
「んー、予想以上の反応ね。別に怒らせるつもりなんてなかったんだけど、さすがにシチュエーションがマズ過ぎたかしら」
「……お姉ちゃん、相変わらずやることがムチャクチャ……」
「ごめんね、鮎子。お姉ちゃんどうしても、鮎子のお友達にお礼したくって」
「質問に答えてくれッ!」
この状況が見えていないのか、見えた上でその態度なのか。いずれにせよ、答え次第ではコンペティションどころではなくなってしまいかねない。
そんなことになりそうな事態だというのに、涼しい顔で「やれやれ」と首を振っている伊葉さんを睨みつつ、俺は四郷姉妹を相手に身構える。
「そうね、あれは確かにただのオレンジジュースではないわ。彼女達の恋路のために、ちょっとしたお膳立てをしてあげようかって話になったのよ。お世話になった鮎子のお友達なんだもの、少しはお礼もしなくちゃ」
「なんだって?」
「鮎美さんッ! 例えあなたといえども、ワガハイの樋稟と梢を手に掛けるよう
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