第82話 今夜のディナーは危険な香り
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だろう。
「こんな最新テクノロジーのごった煮みたいなメカをたんまり抱えてる、四郷研究所……か。勝てるのかねぇ、俺」
いそいそと次の個室を目指し、無機質な廊下を渡るロボットの背中を見送り、俺は本日最大のため息をついたのだった。
――四郷研究所の最上階に当たるこの層は、下のプラントに比べると幾分ケチだ。
……などと言うつもりはないが、実際、地下の広大さと比べると、ここは相当狭い。研究所であって宿泊施設ではないんだから、当たり前ではあるのだが。
食堂にしても、元々三人しか住んでいないせいもあってか、さながら一般家庭の食卓のような外観になっている。といっても、そこら中が機械化まみれだから「質素」とはどうしても言えない。
俺がその場にたどり着いた時には、すでに救芽井・矢村・久水・茂さんの四人が到着しているようだった。みんなシャワーを終えた後らしく、涼しげな服に着替えている。
「なんか、思ったより簡単に作られとるんやなぁ、ここ」
「久水邸みたいに、客人をもてなす前提じゃないんだろうから、仕方ないさ。むしろ、俺達全員が一人一個ずつ使えるくらいの数で、個室が存在してたってのがラッキーなくらいだったんじゃないのか?」
「そうね。アメリカ本国の私の研究所も、研究員達の分しか個室は用意されてなかったわ。ここほど機械に頼ってもいなかったし」
「ふむ、しかしワガハイ達は全員入れるのか? こうなれば一煉寺龍太だけ便所でたまごかけご飯でも――べぶら!」
「あなた達! 泊めてもらっておいて文句を垂れるとは、感心できないざますね。ここはワタクシの親友の御家ですのよ!」
そして、何か不穏な台詞を吐こうとしていた茂さんを鉄拳で沈め、久水が俺達を一喝する。――それだけ、四郷のことを大事に想ってるってことなんだな……。
ふと、四郷の話が脳裏を過ぎる。
『……梢は、ボクの力を、人が恐がるボクの力を、ただ素晴らしいって褒めてくれた。本当に嬉しかった……』
――「人が恐がる力」。きっと、それは「新人類の身体」のことなんだろう。久水は、それを受け入れていたんだ。四郷のために……。
「すまん、ちょっとイメージと違ったなってだけの話でさ。別にバカにする気はなかったんだ、申し訳ない」
「あ、べ、別に龍太様を責めてるわけでは……」
俺が平謝りすると急におとなしくなるのは、ちょっとよくわかんないけど。
「あら、みんな早いわねぇ。もう来ちゃってたの?」
すると、今度は俺達の背後から所長達がやって来た。四郷姉妹の後ろに続いているのは、あの瀧上さんと――伊葉さんだ!
「直に会うのは、久しい気がするな一煉寺君。無事に『決闘』を終えてくれて何よりだよ」
「伊葉さん……」
隣にいる瀧上さんと同じ、温
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