暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第140話「覚妖怪」
[1/11]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話






       =なのはside=









 それは、“孤独”だった。
 寒くて、冷たくて、何もなくて。

   ―――………り………だ……

 途轍もない、“寂しい”と言った感情が、私を蝕んでいた。

「(……違う…)」

 これは、私だ。
 この“孤独”は、私のものだ。
 お父さんが事故に遭って、皆が忙しくなって。
 誰にも相手してもらえなくて、それで寂しくて…。

   ―――し……り…て……い!……た…共…!

 声が聞こえる。
 誰の声だろうか?誰かが、私を呼んでる?

   ―――「…我慢しなくていいの」
   ―――「“寂しい”とか、自分の気持ちをしっかり打ち明けたら、」
   ―――「きっと寂しい思いなんかしなくなるわ」

   ―――「…最後に、我慢をするな」
   ―――「辛い気持ちがあれば、家族や親しい人にしっかり打ち明けろ」
   ―――「そうすれば、そういった思いはしなくなる」
   ―――「……決して一人で抱え込むな」

「っ……!」

 そこで、二人の言葉を思い出す。
 幼い頃、寂しくしていた私に声を掛けてくれた、優しい人。
 そして、その人と同じような事を言ってくれた、心が強い人。

   ―――しっかりしてください!

「ぁ…!リニス、さん…!」

 その言葉を思い出して、声もはっきり聞こえた。
 同時に、目を覚ますように、意識がはっきりとする。

「っ、レイジングハート!」

〈All right, my master.〉

 レイジングハートに呼びかけ、すぐさまその場から飛び退いた。
 …すると、寸前までいた場所を、何かが薙ぎ払った。

「フェイトちゃん!」

「っ、ぁ…!」

 すぐさま、飛び込むようにフェイトちゃんを抱きかかえる。
 そして、その場から離れ、守護者からの攻撃を躱した。

「お二人共、目を覚ましましたか…!」

「リニス…?さっきのは……」

「幻覚か何かを、お二人に見せていたのだと思います」

 フェイトちゃんは、私が呼びかけるまで虚ろな目のままだった。
 多分、私も同じだったのかもしれない。

「―――まずは孤独の記憶…。どうだったかしら?」

「っ…!」

 浸透するかのような声に、私は振り向く。
 そこには、着物を着た女性の妖がいた。
 目がある場所には、ハチマキのように布が巻かれていて見えなかった。

「このっ…!ぐぅっ…!」

「アルフ!」

「フェイト!何とか戻ってこれたのかい!?」

 ずっと相手をしていたアルフが吹き飛ばされてくる。
 …もしかして、私達が囚われている間、時間稼ぎ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ