第5章:幽世と魔導師
第140話「覚妖怪」
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=なのはside=
それは、“孤独”だった。
寒くて、冷たくて、何もなくて。
―――………り………だ……
途轍もない、“寂しい”と言った感情が、私を蝕んでいた。
「(……違う…)」
これは、私だ。
この“孤独”は、私のものだ。
お父さんが事故に遭って、皆が忙しくなって。
誰にも相手してもらえなくて、それで寂しくて…。
―――し……り…て……い!……た…共…!
声が聞こえる。
誰の声だろうか?誰かが、私を呼んでる?
―――「…我慢しなくていいの」
―――「“寂しい”とか、自分の気持ちをしっかり打ち明けたら、」
―――「きっと寂しい思いなんかしなくなるわ」
―――「…最後に、我慢をするな」
―――「辛い気持ちがあれば、家族や親しい人にしっかり打ち明けろ」
―――「そうすれば、そういった思いはしなくなる」
―――「……決して一人で抱え込むな」
「っ……!」
そこで、二人の言葉を思い出す。
幼い頃、寂しくしていた私に声を掛けてくれた、優しい人。
そして、その人と同じような事を言ってくれた、心が強い人。
―――しっかりしてください!
「ぁ…!リニス、さん…!」
その言葉を思い出して、声もはっきり聞こえた。
同時に、目を覚ますように、意識がはっきりとする。
「っ、レイジングハート!」
〈All right, my master.〉
レイジングハートに呼びかけ、すぐさまその場から飛び退いた。
…すると、寸前までいた場所を、何かが薙ぎ払った。
「フェイトちゃん!」
「っ、ぁ…!」
すぐさま、飛び込むようにフェイトちゃんを抱きかかえる。
そして、その場から離れ、守護者からの攻撃を躱した。
「お二人共、目を覚ましましたか…!」
「リニス…?さっきのは……」
「幻覚か何かを、お二人に見せていたのだと思います」
フェイトちゃんは、私が呼びかけるまで虚ろな目のままだった。
多分、私も同じだったのかもしれない。
「―――まずは孤独の記憶…。どうだったかしら?」
「っ…!」
浸透するかのような声に、私は振り向く。
そこには、着物を着た女性の妖がいた。
目がある場所には、ハチマキのように布が巻かれていて見えなかった。
「このっ…!ぐぅっ…!」
「アルフ!」
「フェイト!何とか戻ってこれたのかい!?」
ずっと相手をしていたアルフが吹き飛ばされてくる。
…もしかして、私達が囚われている間、時間稼ぎ
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