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あの人の幸せは、苦い
1. 特別な日
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ックからカップに注いで、居間のテーブルまで戻った。テーブルの上のバナナの皮を剥きながら、テレビのスイッチを押すと、タイミングよく天気予報のコーナーがやっている。

『今日の??地方は、雲一つない晴天が一日中続きます』

 お天気お姉さんが、満面の笑みで私にそう伝えた。反射的に、まだ遮光カーテンが閉じたままの窓の方に顔を向けた。

「……」

 カーテンの隙間からは、眩しい太陽の光が差し込んでいる。皮を剥いたバナナを口に咥えながら、私は両手でカーテンを開いた。

「……うわぁ」

 窓の外には、雲一つない青空が広がっていた。まるで、私の友達と、私の大切な人の新たな門出を、神様が祝福でもしているように、空はどこまでも青く、お日様はとてもあたたかい。

「よかったね。ハル。……いい天気で」

 そんな青空の気持ちよさは、起き抜けの私には、少し、眩しすぎた。

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