こうして、西住みほは原作を崩壊させた
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の間。そこに俺を転生させた張本人の爺さんが現れた。
「まさかこのような結末を迎えるとはの」
「満足したか爺さん」
「はて何がかの?」
「とぼけんな。ずっと俺を監視してたくせによく言うぜ」
そう。俺はずっとこの爺さんに観察されていた。俺を転生させたこの爺さんは神様なのだ。予定もなく死なせたからお詫びに転生させて特典を上げるなど善人な神様という御大層な存在ではない。この神様は退屈だから俺を勝手に転生させて、どんな生きかたをするのかと暇つぶしに俺を転生させたにすぎなかった。
「気がついていたか、そうワシはずっとお主を観察していた。他の転生者と比べて貴様の生き方はほんのちょっぴり退屈しのぎにはなったぞ」
俺は転生された後からこの爺さんの本質を理解した。いや、知ったというべきかな。不定期であるが、俺は夢の中でこの爺さんと喋る機会があった。転生して楽しいか、どんな感じだと当たり障りのないように喋っていたが、この爺さんは俺を心配する感じはしていないかった。どちらかといえば俺をおもちゃで遊んでいる無邪気な子供のような目で俺を見ていたのだ。それを理解した俺は、この爺さんは善意で俺を転生させたんじゃない。転生した俺が、どのような物語を進むのかという退屈しのぎに俺を転生させたのだと理解したのだ。
「貴様を転生させる前の転生者達は、本当に詰まらんかった。やれ原作ブレイクして主人公に変わるだの、ヒロインを助けるなど自分こそ世界の主人公になれると疑いもせんピエロばかりじゃったの。ただの人間の凡人風情が特典を与えられただけで、重要人物に成り代われると思っておったからな。そういう輩は大抵失敗を起こして馬鹿をやっておったの」
だったら何でそんな連中ばかりを転生させたんだと俺は呆れていたが神様曰く。
「初めから成功する可能性が高い人間に特典を与えてもつまらん」
らしいのだ。要するに勘違い野郎、凡人だけど基本的に害のない人間。そして俺のように凡人だと分かりきって原作の人間として演じようとする人間などを転生させてどのような結末を迎えるのか楽しいらしいのだ。改めて思うと、この爺さんは本当に心が腐ってやがるな。まあ、基本的に神がワガママなのは神話を知れば当たり前の事か。
「だが、これで貴様は西住みほとしてもう生きてはいけん。今までの名声を捨てる事になるがよいのか?」
「ふん、誰が好き好んで人形を演じるんだよ。俺は俺だ。西住みほじゃない」
だいたい今まで西住みほとして成功していた時点で奇跡に等しい。俺のような凡人がいつボロが出ても可笑しくない。
「くくく。貴様は他の転生者同様に凡人じゃ。じゃが、ただの凡人ではない。このワシをほんのちょっとじゃが楽しませたんじゃからな」
「嬉しくねえよ」
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