第四十五話 新婚旅行
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の紅茶を堪能して欲しい」
「ありがとうございます、ジェームス陛下。大変、美味しいです」
「お菓子も、甘くてとても美味しいですわ」
マクシミリアンとカトレアは、気に入ったようだった。
ジェームス王と若い夫婦との間は、和やかな雰囲気になり会話も大いに弾んだ。だが、先の『盛大なお出迎え』の話題になるとジェームズ王は神妙な顔になった。
「王子、先日の、我がアルビオン空軍の無礼、この場を借りてお詫びしたい。申し訳なかった」
そう言って頭を下げた。
「陛下、頭をお上げください」
「しかし、この無礼、捨て置くわけには行かない。早速、先の計画を立てた空軍卿を解任させたいと思う」
「最近、トリステインとアルビオンとの関係がギクシャクしている事を考えますと、もし解任された、アルビオン貴族内の反トリステインが一気に燃え上がりかねません。僕としてはそれは避けたい」
「王子はそれで良いかも知れぬが、それでは、示しがつかぬ」
「栄光あるアルビオン空軍に、汚点を残すような真似は、僕としても避けたいのです。アルビオン空軍はトリステイン空軍の目標ですから」
「……王子がそこまで言うのならば分かった。今回は訓告のみで済ませることにしよう」
「ありがとうございます」
マクシミリアンは頭を下げた。
……実はこの話には裏がある。
旅立ちの前に、諜報部に命じてアルビオン王国の各閣僚の情報を調べさせていたのだ。
その情報によれば、空軍卿はハッキリ言えば無能で、政敵になりそうな者を蹴落としたり旧態依然とした人材を周辺に置いたりと、自分の権威の強化に腐心していた。
現在、トリステイン空軍は再編の真っ最中である。優秀な人材なら平民でも艦長になれるよう取り計らったし、既存の戦列艦やフリゲート艦、その他の補助艦には、蒸気機関を取り付ける為に随時ドック入りし、昼夜問わず改装が行われていた。
同盟関係とはいえ、ただでさえ強力なアルビオン空軍とトリステイン空軍とでは、艦艇の数に差がありすぎる。
数の差を性能で補う為に、今回の空軍卿の解任を阻止したのは時間稼ぎの部分が大きい。
(器が小さいと言わば言え。トリステインの為なら、どんなセコイ事だってするさ)
とマクシミリアンは開き直った。
空軍卿は、マクシミリアンとジェームズ王の計らいで罪に問われる事はなかった。
同盟関係とは、利害が一致した国と国が一時的に手を組んだ関係でしかなく、永遠に続くものではない。
マクシミリアンにとって同盟国アルビオンですら仮想敵だった。
……
ロンディニウムに到着したその日の夜。ジェームズ王は盛大な歓迎パーティーを催した。
もちろん主役はマクシミリアンとカトレアだった
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