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僕は生き残りのドラゴンに嘘をついた
番外編
二人で迎える、初めての新年(2018年お正月番外編)
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そうなので」
「まあ、そんな慌てる話でもない。時間をかけてゆっくり考えるとええ。じゃがここを離れられなくなるというのはなぜじゃ?」
「えっと。実はもう、デュラ身籠っているみたいで。お腹の中にできちゃってるようなんです」

「――!?」

 勇者以下四人の目が勢いよく見開かれた。そのまま飛び出すのではないかと思われるほどだった。

「……ソラトくん、そういうのは早く言おうよ。びっくりしたじゃないか。おめでとさん」
「なんと……。よかったな。二人ともおめでとう」
「交尾は成立したのですね。おめでとうございます」

 勇者、女戦士、僧侶が驚きながらも祝辞を述べていく。
 そして魔法使いは――。

「フム、めでたい。じゃがそういうことならば、課題は次の世代に託すのも悪くないんじゃないかのお」

 そんな提案をしてきた。

「生まれてくる子供たちに、ですか?」
「そうじゃ。この世界のことを勉強させるのであれば、ペザルによい学者がおる。少し偏屈で変わった奴じゃが、きっとお前さんたちの子供にぴったりの師匠になってくれるじゃろうて。紹介状なら書くぞい」
「ありがとうございます。何の先生なんですか?」
「地理学、じゃ」

「地理専門の学問なんてあるんですか。全然知らなかった」
「そうじゃ。まあワシも聞くまで知らんかったがの。その土地における自然の営み、生物の営み、人間の営み、すべてを総括した学問じゃよ。その学者は特に植物の生態、植生学が得意だそうじゃがな」
「植物のことを? そんなの研究対象になるんだ……」
「植物は足がないじゃろう? その土地の寒さや暑さ、雨の量、土の質、動物相――その土地のすべてを反映する生物じゃ。それを研究することはこの世界そのものを研究する第一歩……とその学者は言っておったぞ」
「へえ……」

 ソラトは眼前に広がる青と緑の絶景をあらためて見渡しながら、ゆっくりと魔法使いの言葉を消化した。

「じゃあデュラ、こうしようよ。いっぱい子供を作れば、一人くらいは旅も勉強も向いてるのがいると思うから、その子に勉強してもらって、そのうえで世界を見て回る旅をしてもらおう。
 そして一緒に考えてもらおうよ。僕らの子孫たちはどうやってこの世界と付き合っていけばいいのかを」
「なるほど。それはよいな。賛成だ」

「よーし。じゃあ決まり! デュラ、一人目が生まれた後も一生懸命ヤって子供をたくさん作ろう。弓と同じで数撃ちゃきっと当たるよ!」
「わかった」

「……そこは普通に『子作り頑張ろう』とでも言えばいいんじゃないか? やらしいぞ」

 女戦士が珍しく勇者以外の人間に突っ込んだ。

「ソラトくん相変わらず面白いなあ。で、話がまとまったんなら、そろそろ乾杯し直さないかい。酒の樽とつまみが
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