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僕は生き残りのドラゴンに嘘をついた
番外編
二人で迎える、初めての新年(2018年お正月番外編)
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げた大きな伸び付きで、そんなことを言う。

「フォッフォ。旅は楽しい面もちゃんとあるぞ」
「え、俺はあんまりないけどな。移動が面倒なだけ」
「はは。勇者様はもともと知的好奇心がないですもんね。旅はその土地のモノを見て、それを知ることでもあります。知ることが楽しくない人には旅はつまらないものかもしれませんね」
「だな。お前いつも『勉強になった』とかいう割にはすぐ忘れるだろ」
「ほっとけ」

 三人が次々と勇者に突っ込んでいくのを見て。ソラトは安心の笑みが自然と出てきた。ああ、この四人の会話での役割も変わってないんだ。あのときのままなんだ――と。

「勉強は大事じゃぞ。特にこれからの世ではな……。もう剣ができれば良いという時代は終わりじゃからの。勇者殿は自他ともに認める勉強嫌いじゃが、ソラトくんはどうなんじゃ?」
「僕もあまり好きじゃないかも」
「旅することはどうじゃ?」
「うーん、それは嫌いじゃないですけど。ここでデュラと一緒にいるほうが楽しいです」

 言い終わる前に、デュラの首が動いていた。

「イテテ。前も言ったけど、それ鱗がちょっと痛い」
「あ、すまない」

 体にガリガリ頬をこすりつけられ、ソラトは笑いながら顔をしかめた。

「フォフォ。相変わらず仲良いのう。じゃが、お前さんたちは特にこれから、この世界の勉強が必要になるかもしれない立場じゃぞ」
「そうなんですか?」

 ソラトがそう返す横で、デュラも首を少し首をひねる。

「うむ。お前さんたちはこの世界で特別な存在となる。人間と最強の野生生物の夫婦じゃぞ? もしも子孫を残せるということになれば、下手すりゃ人間の脳とドラゴンの力を併せ持つ最強の知的生物が誕生することになるかもしれん。
 そうなったら、人間たちと、いや、この世界そのものとどう付き合っていくのかを真剣に考えなければならなくなるぞ?」

 ここでデュラも一つ大きくうなずき、口を開いた。

「私は今や人間に生かしてもらっている存在だ。ドラゴンの血を持つ者たちがこの世界に対し何ができるのか。人間に対しどのような付き合い方をすれば最高の恩返しになるのか……。それはしっかりと時間をかけて考えていかなければならないことだと思う」

「うわあ、ドラゴンってしっかりしてるんだなあ。びっくりだ」
「ははは。勇者様よりもしっかりされているかもしれませんね」
「まったくだ」
「だからいちいち俺をいじってくれなくていいっての」

 女戦士と僧侶に苦笑半分うんざり半分の顔を返す勇者。
 一方ソラトは、魔法使いやデュラの言っていることに納得するとともに、不安も覚えた。

「うーん……でも例えば今から僕らが世界をめぐって見分を広めて、というのは難しいかも。もうすぐここを離れられなくなり
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