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レーヴァティン
第三十六話 北の街その五

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 風呂を出て今度は酒を飲んだ、ウォッカを飲みながらそのうえでだった。順一が一同にこんなことを言った。
「ここで飲みながら耳を欹てていると」
「うん、色々聞こえてくるね」
 源三は肴の脂の多い肉を焼いたものを食べつつその順一に応えた。
「他のお客さんの会話が」
「この北のこともわかりますね」
「そうだね、何かとね」
「北も多くの領邦に分かれていて」
「そしてモンスターもいる」
「人は少ないですが」
「それでにだな」
 正も言ってきた、彼は黒パンを食べている。
「色々と揉めてもいるな」
「領邦ごとで」
「そこはどうもな」
「何処も同じで」
「この北もだな」
「その様ですね」
「それで最北はか」
 極北とも言う、北のさらに北はというのだ。
「もう人も殆どいなくてな」
「オーロラが出ていて」
「そしてな」
 正の目が光った、ここで。
「白夜だよな」
「ああ、寒いとな」
「白夜もあるよな」
「この島でもあるか?白夜」
 久志は正が見たそうなそれについては懐疑的に返した。
「あれは緯度の関係でだろ」
「ああ、太陽がいつも出ててな」
「それでだよな」
「そうなるんだよ」
 そもそも北欧の寒さも緯度の関係だ、緯度が高いと地球では寒くなるのでこの北欧やロシアは寒冷なのだ。
「ここは違うんじゃないか?」
「緯度が高いから寒いんだろ、ここは」
「それでか」
「この島実は大陸だしな」
 そこまでの面積があるというのだ。
「緯度が高いからここも寒いんだろ」
「それでか」
「ああ、そうだろ」
「はい、ここは緯度は高いです」
 おこで淳二が彼等が今いる場所についてウォッカを飲みつつ話した。
「そしてそのせいで、です」
「寒いんだな」
「はい、そうかと」
「それでか」
「この島でもおそらくです」
「白夜を見られるか」
「そうかと。私達は見ていませんが」
 実際に夜は普通に夜になっている、白夜にはなっていない。
「それでもです」
「この島も白夜になるか」
「そうだと思います」
「じゃあその季節にここにいればか」
「白夜を見られますよ」
「それじゃあ一回見たいな、オーロラもそうだけれどな」
 正はウォッカを飲みつつ順一の言葉に笑顔になった、それだけ白夜というものが見たいということであろうか。
「是非な」
「日本じゃないんだよね、白夜」 
 源三は鱒のフライを食べつつ応えた。
「本当に」
「北海道でもな」
「というか北海道でも緯度的にはね」
「まだ低い方だよな」
「宗谷岬ってパリより南にあるから」
「実は欧州って寒いんだよな」
「そうだよ」
 実際にとだ、源三も言った。
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