第百三十七話 八条荘に帰ってその四
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「それは」
「そうだ、つまり春秋及び戦国時代はだ」
「九尾の狐が引き起こした」
「そう言えるかも知れない」
「恐ろしい狐ですね」
「その妖力の大きさだけあってな」
それでというのだ。
「まさに魔神か魔王だ」
「その域の妖怪ですか」
「だから恐ろしいのだ」
「九尾の狐は」
「よい心を持っている狐ならいいが」
「悪い狐ならですね」
「この様になる」
これまで話した国を滅ぼして回る様なことをだ、
「天下を乱す」
「そうなりますか」
「ものも生物も長年生きると妖力を持つことはだ」
このことはというのだ。
「間違いない」
「付喪神や猫又、それに九尾の狐ですか」
「そうなっていく、百年が目途になるだろうが」
先程の硯の話だった、このことは。
「千年になるとな」
「妖怪の中でもですね」
「魔神や魔王になるだろう」
「千年ですか」
「千年もつ、生きる存在なぞ滅多にないが」
それこそ木でもだ、千年生きていれば相当だ。大抵はそれより前に寿命で枯れてしまう。木にも寿命があるのだ。
「そこまでもつ、生きるとな」
「魔神、魔王ですか」
「それになるだろう」
「そう考えると怖いですね」
円香さんもここまで聞いて頷いた。
「長生きも」
「うむ、おそらく人間もだ」
「長生きしますと」
「仙人だのになるだろう」
「あっ、それでは」
留美さんの今の話にだ、円香さんはあることに気付いた。それはというと。
「大学の悪魔博士は」
「あの人だな」
「あの人も仙人でしょうか」
「百五十年生きているそうだな」
「噂では」
「あの噂はおそらく事実だ」
あの博士が百五十年生きていることはというのだ。
「日清戦争の頃には八条学園に在籍していた」
「日清戦争ですか」
「明治の頃の戦争だが」
一八九四年だ、教科書にも書かれている。日露戦争と並ぶ日本の大きなターニングポイントとなった戦争だ。
「あの戦争の頃の在籍記録がある」
「その頃には」
「教授としてな」
「教授ですか」
「おそらく以前から在籍していた」
八条学園にというのだ。
「そう考えるとだ」
「百五十歳ですか」
「それ位だ、しかもだ」
留美さんは博士のことをさらに話した。
「あらゆる学問を究めているらしい」
「それも有名ですね」
「錬金術、魔術の類までな」
「そうした分野もですか」
「造詣が深いともいうしな」
「長生きをしていて」
「長生きをしていて知ったのかそれとも知って長生きしたのか」
どうも卵が先か鶏が先かという話になっていた。
「それはわからないが」
「そうした学問にも造詣が深いですか」
「そうらしい、失われた文字も読めるという」
「失われた」
「何しろ楔形文字も象形文字もルーン文字
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