第百三十七話 八条荘に帰ってその二
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「ないみたいだよ」
「そうですか」
「うちの学園こうした話も多いけれど」
ものが自然に動いたり手足が出たり喋ったりだ、八条学園はこうした話もかなりあったりする。
「このピアノはね」
「そうしたお話はですね」
「ないよ」
「何十年もとなればと思いましたが」
「まあそれ位でもかもだけれど」
それでもだ。
「今はね」
「このピアノにはですね」
「そうしたお話はないよ」
「何でも長くあれば命が宿る」
留美さんも言ってきた。
「そうなるものだ」
「付喪神はだね」
「あらゆるものがなるからな」
「筆とか食器もね」
「そうなる、例えば硯を百年使う」
今では書道に使う、もう毛筆でものを書くことは減っている。僕も大抵はボールペンかシャーペンで書いている。
「そうすればだ」
「その硯が付喪神になるんだ」
「そのうえで使う者に素晴らしい字を書かせるらしい」
「そうした話もあるんだ」
「そうらしい」
「そういえば猫も」
円香さんはものではないけれどこの生きものの話をした。
「長生きしますと」
「猫又にだね」
「なるといいますし」
「うん、学園にも出るよ」
「猫又は」
「そう言われてるよ」
かなりメジャーな妖怪だ、尻尾が二本あって化けたり人間の言葉を喋ったり踊ったりするらしい。
「それで長生きする度に尻尾が増えるとか」
「三本四本と」
「千年生きたら九本になるとか」
「狐みたいですね」
「九尾の狐だね」
「そうですと」
「うん、そんな感じらしいよ」
実際にだ、猫又もそこは妖狐と同じらしい。
「そこはね」
「猫も狐も」
「うん、天狐にもなると」
僕は円香さんに狐の話をした。
「妖狐の最高位でね」
「そうした狐のですか」
「もうね」
それこそだ。
「凄い妖力を持っていて」
「千年も生きていると」
「もうね」
それこそらしい。
「尻尾も九本になってね」
「妖力もかなりで」
「強いらしいよ」
「では九尾の狐は」
「あの狐はね」
後鳥羽法皇を惑わせたらしい、中国では殷の紂王を惑わし周の幽王を惑わせて国を乱し滅ぼしたとのことだ。
「二千年以上生きているね」
「二千年ですか」
「中国の殷の末期から日本の平安時代末期までだから」
大体それ位になる、いやもっとだろうか。
「途中インドにも行っててね」
「三国を二千年以上ですか」
「飛び回ってね」
封神演義の妲己の正体がこの狐だった。
「悪事を働いていたそうだから」
「最初から九尾だったのですね」
「殷の頃にはね」
あの酒池肉林の紂王を惑わした時にはだ。
「そうみたいだからそれこそ」
「三千年以上はですか」
「生きていたんじゃないかな」
「凄い狐ですね」
「もうそこまでいく
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