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フルメタル・アクションヒーローズ
第80話 俺を「つなぐ」、彼女の意味
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なさそうだな。

「……まぁ、そんなところです」
「ふふっ、綺麗な目、してるね。……よく似てるわ。妹の帽子、取ってくれたんでしょ? あの娘、すごく喜んでたわ」

 さっきの冷たさや鋭さを包み隠すような、どこか冷ややかさを孕みつつも、穏やかにも見える視線。それに若干警戒しつつも、俺は当たり障りのない返事をした。……ここで四郷の話を持ち出したって、恐らくまともに相手はしてくれないだろうからな。
 ……つか、「よく似てる」って誰にだよ?
 つか、あの帽子ってそんなに大事だったんだな……。取り戻せて、本当によかった。当の四郷は、なんか久水みたいなリアクションしながらそっぽ向いてるけど。

 しかし、こうして見ると普通の仲のいい姉妹にしか見えないんだよなぁ……。四郷も、お姉さんのことは特に悪く言ってなかったし。
 端から見れば、妹を機械に改造してしまうような恐ろしい人間には、到底見えないだろう。あの冷たさが、俺の思い過ごしでありさえすれば。

「あらあら、そんな固くならなくたって大丈夫よ。あなたはあなたの実力で、ぶつかってくれればそれでいいんだから」

 やたらエロい手つきで、所長さんは俺の頬を撫でる。まるでピアノを弾くかのように、細い五本の指が、交互に俺の肌を這い回っていた。
 口ぶりからして――「救済の超機龍」のこともダダ漏れってわけか。

「ちょっ――龍太になにしとんやっ! アタシの前やったらお触り禁止やでっ!」

 そんな状況が見ていられなかったのか、俺達の間に、今度は矢村が割って入ってくる。所長さんは珍しく目を丸くすると、眉を潜めて首を傾げてしまった。

「あなたは……ええと、どちら様?」
「がくっ! ア、アタシは矢村賀織やっ! 龍太とは中学時代からずっと一緒で――」
「……どうして一般人がここにいるのかしら? コンペティションの代表選手として来ている一煉寺君や、スポンサー候補の梢ちゃんがいるのはわかるとして――ただの民間人に出席を頼んだ覚えはないのだけど」
「えっ……で、でも、アタシは、龍太と……」

「聞こえなかったの? 『ただの民間人』に用はないのよ」

 その言葉が発せられた瞬間、矢村は目を見開いて硬直してしまった。そして、唇を噛み締めて俯いてしまう。

 ……一般人、か。それは俺も同じのはずなんだけど、俺には「救済の超機龍」としての役目がある。久水や茂さんは、どちらのスポンサーになるのかを見届ける立会人。救芽井はもちろん、企業としての代表者だ。
 ――言われてみれば、矢村がついて来る理由なんて一つもない。特に役割があるわけでもなく、彼女が言う通りの完全な「民間人」なんだから。

「一煉寺君の知り合いだかなんだか知らないけど、ただの民間人にまで見せられるようなショーとは違うのよ。今日は
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