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フルメタル・アクションヒーローズ
第79話 ノーヴィロイド
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れて止められてしまった。反動で思わず首が締まってしまい、喉仏から息がゲホッと噴き出して来る。

「ゲホゴホ……な、なにすんのさ!?」
「龍太様、彼らには彼らの、あなたにはあなたの役目があるはずですわ。余計なことをして、体力を無駄に削るような真似は謹んでくださいまし」
「な、なにもそんな大袈裟な……」
「いいえ! あなたは四郷研究所の力を甘く見ているざます。お兄様に勝ったからといって、向こうでも同じ道理が通じるとは決して限りませんのよ!」

 ぐ、な、なんかいつになく真剣だなぁ……。まるで母さんから躾されてるみたいじゃないか。

 しかし、彼女の言うことももっともかも知れない。事実、俺は向こうの手の内なんて、まるでわかってない。
 対して、相手はこっちのことは散々知り尽くしているのだろう。なにせ、こっちは世界的な大企業なのだから。

 ……そうだよな。俺には俺の、セバスチャンさん達にはセバスチャンさん達の戦いがある。ここは、そっとしとく方がいいのかも知れない。

「――たはは、その通りだなぁ。いやぁすまん、ちょっと余計な気遣いだったかな」
「い、いえ、あなたは本来なら『それで』構わないざます。その気遣いがなければ、ワタクシは今頃……」
「ん?」
「し、しかし今回は大事な用事がある以上、自分のお体も大切にしなければなりませんのよ! ここは我が久水家の使用人達にお任せあれっ!」

 何か言いそびれてるようにも見えたけど……まぁ、いいか。あんまり人のコト詮索するのって良くないと思うし。
 久水は恥じらうように俺から視線を外すと、手ぶらのまま部屋を飛び出してしまった。あれ、そういえばあいつ、荷物はどうしてるんだ?

 ふと、そのことを疑問に感じてバスを見下ろしてみると……見覚えのないバッグが幾つも詰め込まれているのが見えた。肩掛けのモノだったりリュックサック状だったりと、まるで俺と救芽井と矢村の三人分を、集大成にしたかのような物量。
 俺以外の荷物は、既にバスに詰められてるみたいだし……まさか、アレ全部が久水兄妹の……!?

 ――や、やめよう、考えたら負けだ。でも、あんな大量の荷物を研究所に持ち込んでどうするんだか。遊びの旅行でもあんなには持って行かないぞ……。

「一煉寺龍太、急ぎたまえ! 既に貴様以外は準備万端だ!」

 午後の日光を頭頂に浴びて、今度はスーツをピシッと着こなした茂さんが、入れ替わりに部屋に入って来た。うおっまぶしっ。

「ああわかった、すぐに行くよ」

 俺はその神の輝きを手で覆いながら、降ろしたままだったリュックを、よいしょと背負い込む。
 茂さんはその様を見届けると、「ではワガハイは先に向かおう!」と猛ダッシュで立ち去って行った。ものすごく楽しみって感じのテンションだったな
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