第77話 ヒーローといえばユニフォーム
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突如として、俺の視界に現れた「必要悪」。
その存在を俺が皆に訴えようとした時には、既に奴は行方をくらましていた。
茂さんに「誰もいない窓の外を指差して騒いでいた」ということにされかけたのには堪えたが、救芽井達は俺の話を真面目に聞いてくれた。……茂さんをブチのめしながら。
特に救芽井は、あいつのことが気掛かりでしょうがないらしい。それは多分、俺も同じだが。
――しかも、「必要悪」について驚くべき情報が、これをきっかけに突然舞い込んできた。
茂さんが「救済の超機龍」のことを知っていた理由。それが、奴だったのだ。
「救芽井家の婿養子候補である『救済の超機龍』の所有者に勝てば、救芽井樋稟は必ず手に入る」。茂さんは、そう「必要悪」に吹き込まれていたらしい。
俺が「必要悪」について、四郷や久水に説明しようと特徴を羅列したところ、茂さんが何か知ってるような反応を見せたため、救芽井が締め上げていきさつを吐かせたのだ。
あの「必要悪」って奴……一体、何を考えてる? 俺を試すとか言って、一般ピープルを踏切にブチ込んだり、茂さんに発破を掛けたり。
「救済の超機龍」を知っていて、その上俺を試すようなことばかり繰り返しているようだが……。
やっぱり――「あんた」なのか? いや、だけど……どうして……?
――なんにせよ、今はまだ何者なのかわからない以上、構っていても仕方がない。それに、俺達にはコンペティションという重要な仕事が残っている。
気掛かりなことではあるが……先送りにするしかないのだろう。
……だが、俺が気にしているのはそれだけじゃあない。
それは、俺以外の全員がフォーマルな出で立ちに大変身している、ということだ。仲間外れ感がハンパないんですけど……。
「あら、そういえばまだ渡してなかったかしら。……ちょうどいいわ、私の部屋まで来て」
朝食後にその件について救芽井に問い質したところ、速攻で彼女の部屋まで連行されてしまった。なんか有無を言わさぬオーラだったような……つか、「渡してなかった」って一体……?
やがて連れ込まれた彼女の部屋は、これまた四郷や久水のそれに負けない豪勢ぶり。黄色いカーペットやベッドに描かれた細やかな模様からは、セレブリティーな雰囲気がこれでもかというほど滲み出ているようだった。
化粧に使うような鏡やクローゼット、シャンデリアやカーテン付きベッド。……これが客室とは、今さらながら恐れ入る。ちなみに聞くところによると、同じような部屋を充てられた矢村は、余りの豪華さに一晩中はしゃいでいたのだとか。
……俺も久水のことがなけりゃあ、同じ心境だったのかもな。
「……な〜にを考えてるの?」
「うひょぃッ!?」
――っていう考えが顔に出て
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