第3章 束の間の休息
第76話 修羅場の朝
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で反応もできず、俺は彼女の体当たりを真正面から受けてしまう。
久水といい矢村といい、最近の女子の間じゃ捨て身タックルが流行りなのか?
「えへへへ……アタシも龍太の『愛人』になったろーかなってさ」
「――うえぇ!?」
「だって、そうやろっ? 久水が結婚しなくても一緒におる気なんやったら、アタシだってやったるで! ――そんで、いつか龍太が振り向いてくれさえしたら、そのまま『一煉寺賀織』に……えへ、えへへへへ……」
「おい落ち着け! よだれ垂れてる! 超垂れてる!」
全く、こいつもとんでもないコト思い付きやがって!
……だけど、こんなに俺と一緒にいたがるって、もしかして……その、矢村も――俺が好き、なんだろうか?
――いやいやいや! 落ち着け俺こそ落ち着け! いくら久水がそのパターンだったからと言ってだな……!
……でも、もし……久水と同じ気持ちだったとしたら、俺は――
『この際やから言うとくけどな、アタシは龍太が好きや! 大好きなんや!』
――その仮説を後押しするかのように、約二年前のあの発言がフラッシュバックしてくる。
もしアレが本心だとしたら……俺は、二年近くもずっと、彼女をほったらかしにしてきたということなんだろうか……。
「な、なぁ矢村」
「ん? なぁに?」
「あのさ、前にファミレスで――」
「さぁ龍太様! 今日の隣はワタクシざます! 世に云う『あ〜ん』とやらを実践して差し上げますわっ!」
「ぬわっ!?」
「きゃっ!? ……む、むーっ!」
だが、矢村の気持ちを確かめようとしたところへ、久水がここぞとばかりに割って入ってきた。彼女はグイグイと俺の襟を引っ張り、食事の席へと強制連行していく。
なんか彼女がジロッと矢村を睨んでるようにも見えたけど……気のせいだよね? なんかお二方の目線がぶつかって火花散ってる気もしたけど、気のせいですよね?
「さぁ皆様、御席へどうぞ。今日の朝食にはドイツ産の本場ソーセージがありましてよ?」
「サラッと流さないでくれる!? 龍太君の隣は婚約者の私よっ!」
「二人ともなに言うとるんやっ! 一番付き合いの長いアタシが、責任持って監督するべきなんやけん、アタシが座るっ!」
「あら、どうぞご自由に。それならワタクシは彼の膝の上に座りますわ」
「……梢、がんばれー……」
彼女達は俺の心労などまるで気づく気配がなく、それどころか各々が自分の欲望に従いまくっている。メダルとか入れてみたら余裕で怪人とか出て来そうだな……。
「ぐふっ……ふふふ……モテる男は辛いな? 一煉寺龍太……」
「……茂さん、あんたはもう何も喋るな。いろんな意味で傷口が開く」
血の涙を流しながら、心身ボロボロとなって倒れ伏している茂さん。もう見てい
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