第七章 C.D.の計略
動き出す魔人
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よっか?」
「とりあえず起こすか」
あっさりと結論を出して、渡の身体を揺する駆。
すると、その瞬間かれの目に何かのビジョンが飛び込んできた。
襲い掛かる獣のような怪物と、立ちはだかるようにして構えるキバの背中。
真っ赤な背景の中、あまりにも膨大なエネルギーを蓄えた怪物が、キバの身体を吹き飛ばす―――――
「ッッ!?」
「え?駆くん!?」
「ん?どした?」
あまりにも衝撃的な光景に思わず手を放す駆。
その様子を心配そうに見るゆかと、肥を駆けるキバット。
ともあれ、今の光景は彼の魔眼――劫の目によるものだろう。
ということは、あれは未来の光景。その可能性のうちの一つということ。
しかも自分の目がそれを見たということは、かなり高確率で起こりうる光景だということだ。
「ハァ・・・ハァ・・・・ッく」
いきなり飛び込んできた情報を頭で整理し、ひとまず彼らに説明しようと口を開く駆。
だがそれは、いきなりやってきた来客によって阻まれる。
カランカラァン、という、喫茶店という空間においてはあまりにも日常的な入り口ドア開閉の音。
だが駆はその音に強い不快感を感じた。
駆の耳にその音は、まるで無理やり「日常」というものをねじ込んできたかのような違和感しか感じられないのだ。
「ふむ。外の看板には閉店は7時だとあるが?」
「あ、ごめんなさい。今日はオーナーがおやすみで閉店速くて――――」
来店してきた男―――Gパンに半そでシャツ、そして両手に指だしのグローブを嵌めた男は、あまりにもこの空間に似つかわなかった。
たとえどんな時間帯でも、一人でこんな店に来店するような輩ではない。
そんな男にててて、と近づき謝罪を述べるゆか。
そのゆかを駆は
「下がれッッ!!」
「え?」
「おしい」
ゆかの胸が裂けていた。
正確には、ゆかの服の胸の部分が、だ。
瞬時にその肩を引いた駆によって、男の爪は彼女の身体を抉ることなく空を切り、その服を裂いたにとどまったのだ。
「え?え?」
状況が呑み込めないゆか。
突如として沸いてきた、切迫するこの状況に呼吸が荒くなる駆。
見ると、男の指先は揃い、鋭く尖っていた。
ビキビキと変質するそれは、彼の正体が人間ではないことを容易に想像させる。
「いや、惜しい」
「お前・・・いったい何のつもりだ!!!」
「・・・お前も魔石持ちか」
「なに?」
男の顔には、特別表情というモノはない。
それは彼が無感情だからではなく、彼ら人間に対して持ち合わせる感情がないからだ。
たった今ゆかへの攻撃を失敗した
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