第七章 C.D.の計略
輝きを超えた煌き
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「英霊を相手に語るにしては、人間などとスケールの小さい話になったな」
「いや?同じだとも。元人間の英霊」
オルタは言う。
今は確かに英霊だ。
なるほど、その偉業は誉れ高い。
反英霊だとしても、その力は称賛されるものである。
だが、お前ら今が何であったとしても、生まれた時から人間味のないわけじゃないだろ?
「フン。生まれながらにして英雄という奴はごまんといるぞ」
「だったらなぜおまえたちは人間臭く未練を残し聖杯にすがる?」
「・・・・・・・」
「っと、話がそれる・・・・なんだっけか?最後に行きつくのは悪、ってとこか」
返答はない。
だがオルタは勝手に進めていく。
「片や、あらゆる正しい手段で人を救おうとし、人の悪意に裏切られて殺された英雄」
「片や、正しい結果を求めて手を血で染め上げ、何もかもを失った騎士の王」
「片や、手段を選ばず自らの大切なもののために戦い、結局はその大切なものすら手にかけてしまった怪物」
人は、悪意に負ける。
まるでそう言いたそうな口調で、三人を指さして語るオルタ。
正しくあろうとした、正しいことをしようとした、間違っていても正しい結果のために動いた。
間違おうとして間違った者などいない。
だが、人は――――
正しくあろうとして間違え
正しくあっても裏切られ
正しくなくとも破滅する
この三人の末路だ。
「正しくあろうとするもの。なるほど、確かにそれは素晴らしいね。だけどそれがみんなできる世界なら、とっくに世界から悪なんてものはなくなっているよ」
結果的に、この世界には悪意が多すぎる。
一人の人間に対し、敵と呼べる人間が多すぎる。
歴史をひも解いてみてもわかるだろう。
平和な時代というのは、争いの時代に比べてなんとちっぽけな時間なのか。
「だからなんです・・・・?」
「ん?」
「だから、あなたはこの世界をどうするつもりなのですか!!!」
「正しくあろうとしたセイバー。だがその結果あなたは裏切られ、その悪意は息子までをもその手で殺した―――――」
「黙れ!!!」
振られる剣。
それを軽く躱し、オルタは続ける。
「認めてしまいなよ。世界は悪であるほうが自然なんだ」
その姿にすべきなんだと。
オルタに言わせれば、善意を無理に働かせようとするから、悪意は暴れるし、それに呑まれた時の絶望も大きいんだ、ということらしい。
「正しいか間違っているかなんてのは知らないよ。でもね、今までの様々な結果を見てね?悪のほうが優ってる。これは変えがたい事実だ!
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