第七章 C.D.の計略
輝きを超えた煌き
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この・・・!!!」
アーチャーの指からすでにガラドボルグは離れている。
その一瞬のうちに、オルタはここまでのことをやってのけた。
このままでは、セイバーとライダーが放たれたガラドボルグに串刺しになる。
放たれた弓は、もはや主の意識とは別に飛んでいく。
修正不可能。絶対不変。
だが、それはただの弓兵の話だ。
ここのアーチャーは人を超えた英霊。
ただ指先から刹那離れた程度で、何もできないと思うことがおこがましい。
「クッ!!」
ドギュッッ!!――――――ドォンッッ!!!
「きゃぁっ!!」
すっ飛んで行くガラドボルグ。
それは大空洞の天井に命中し、地鳴りと落石を伴って威力を知らしめる。
その振動と轟音に思わず声を上げる桜だが、凛はまっすぐにアーチャーたちの方角を見ていた。
ガラドボルグは外れた。
半分正解で、半分間違いだ。
結果としては、オルタには当たらなかった。
彼は後頭部を抉り取っていこうと背後から撃たれたそれを、上半身ごと右に傾げて回避していたのだ。
対して、サーヴァントたちは?
地面に落ちたライダーとセイバー。
ライダーは頭部から出血していた。
ガラドボルグが掠ったのか、左側頭部から流れ出た血が、彼女の透き通るような肌を真っ赤に染めていた。
だが彼女がその程度で済んだのは、まず先にセイバーのわき腹を掠めていったからだろう。
セイバーは脇腹を抑え、小さく吐血しながらも無事ではあった。
当たったのは右脇腹か。
鎧が砕け、しかも捩じり取られていったのか、スカートにスリットが荒々しく入っている。無論、そこにあった鎧は跡形もなく吹き飛んだ。
ではアーチャーは無傷だろうか。
違う。アーチャーはあの瞬間、すでに威力を纏っていたガラドボルグに手を伸ばした。
そのおかげで、ライダーは頭がまだあるし、セイバーは上下に身体が分かれていないのだ。
よって、アーチャーも負傷。右手がズタボロ状態だ。
おそらく、この戦いの内に使うことはできないだろう。
そんな彼らをよそに、オルタはバキバキと鎖を引きちぎって立ち上がっていた。
「ふ――――――ぅ・・・・・」
長い一呼吸。
そして周囲を見回して、すでに戦いにならないことを悟った。
「どうだ英霊。これが」
「「悪だ」・・・とでも、いうんじゃないだろうね?」
「いいや。これが「力」だ」
語るオルタ。
今ここに立つ自分。それを形成するのは力。
そして、自分は悪である。
「結局のところ、目的を完遂するためには人は正しくいることなどできない」
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