第七章 C.D.の計略
襲撃 ギルス
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にぶん彼は生まれたばかりだ。自分の目で見て、聞いて、学ぶことは多い。
そうして旅だったはずだったのだが・・・
「あの子はどうやら、人間の悪い面ばかりを目にしてしまったらしい」
「それで、この世界は悪い奴の比率が高い、と?」
事実、それは覆せないだろう。
世界は平穏だと思っているのは、ごくごくわずかな国の住人だけだ。
今でもどこかの国では地雷が起動し、銃弾が人を殺し、火が街を焼く。
そんな景色が当たり前の地域、そんな景色になる一歩手前の水際の地域が、この世界にはまだまだ存在するのだ。
そして彼は、それを強く目の当たりにしてしまった。
ここからはオーヴァーロードの話だが、彼は自らそういった地域に足を踏み入れていったらしい。
より多くの悪を。より強い悪を。より悪い悪を。
それを見て、学び、その多さにまた知る。
「現実」とは「真実」だ。その世界に、これほどの悪が生き延びている。
過去のデータを見た。
確かに、人は正しい方向へと導こうとした。幾度も、幾度も。
しかし、悪は決してなくならなかった。
何とかしてそれらの目をかいくぐり、その存在は常にあった。
無くなりなどしない。
善がない時代はあっても、悪がない時代などあっただろうか?
ならば、この世界で真に強いのは「悪」ではないのだろうか。
オルタの思考は、そうして染め上げられていった。
あれだけ人のいい青年だった彼が、だ。
もともと、悪についても十分に学ばせるつもりではあったらしい。
オーヴァーロードの狙いは「人々の悪意に負けぬ強い存在」を作ろうとしていた。
人間の情報を見て、学び、それがどういうモノかを知ることで抵抗力を上げ、強い存在にするつもりだったらしい。
だが、結果はごらんのとおり。悪意の強さに抵抗し切れず飲まれてしまった。
そして最終的に「悪意のほうが強いではないか」という結論に達した。
「で、より強い悪へと向かっていった結果が、デトロイド」
「悪人を学び、そしてそれを殺すことでさらに近づいていく」
「行く先は・・・・?」
「わからない。もはや彼は私の手を完全に離れてしまった」
ガタリと立ち上がるオーヴァーロード。
身体が徐々に透けていって、彼がその場から去ろうとする。
「彼がこのような形になったのは、何か理由があるはず。もはや私の干渉も受け付けない・・・何か得体のしれない、外部からの力が作用しているようです」
「おい、あいつはどうするんだ!!」
「彼のことは任せます。諭すか、倒すか、それとも・・・・」
「殺すか、か?」
「すべては成行きに任せます。それが
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