第四十三話 阿波野君が気に入れられてその一
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第四十三話 阿波野君が気に入れられて
お父さんもお母さんも阿波野君とお話をしましたが。
にこにことしてです、阿波野君に言っていました。
「そうか、それはいいな」
「頑張ってね」
「はい、天理大学を受験してです」
阿波野君はお父さんとお母さんにもいつもの調子でした。
「それで前期後期の講習も受けさせてもらってです」
「そして教会長さんの資格も貰ってか」
「さらに勉強していくのね」
「そう考えています」
「しかも同じ奥華ときてるしな」
「余計にいいわね」
何が余計にいいのかと聞いていて思いました。
「千里もいい後輩持ったな」
「本当にね」
「全然いい後輩じゃないから」
私はお父さんとお母さんにむっとしたお顔で言いました。
「いい加減でお調子者で馴れ馴れしくて」
「裏表のないいい子じゃないか」
「明るくて素直でね」
「確かに裏表なくて明るいけれど」
それに素直といえば素直です。
「素直だし」
「そう考えるといい子じゃないか」
「それだけあるとね」
「そう?お調子者でいい加減でしかも礼儀知らずだけれど」
この三つの要素がどうしても付きまとう子です、だから私もお父さんとお母さんにこう言ったのです。それもお口を尖らせて。
「それでもなの?」
「ははは、それ位いいじゃないか」
「それ位はフォロー出来るじゃない」
「何か甘くない?」
こう思わざるを得ませんでした。
「お父さんもお母さんも阿波野君に」
「ああ、阿波野新一君だったな」
お父さんは私が名前を言ったのでこの子のフルネームを出しました。
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