愛しているから
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らないボケに拳を固め息を吹き掛ける。それに気付いたレオンはすぐさま距離を取り宥めてくる。
「冗談だよ、半分は」
「どの辺が本気なんだよ!?」
「ふつつかな娘たちですが、のところ」
「お前は俺らのお父さんか」
なんでお前に父親面されなければならないのかと怒り狂っていると、彼はなおも距離を置いたまま、真面目な顔で語り出した。
「『まだまだ2人とは遊び足りませんが、この1年は今までで1番早く感じました。これから妖精の尻尾たちを集める上で2人は大事な仲間だろうから、何がなんでも連れ帰ってください。でも、もし2人があんたたちに嫌気が差したと思ったら蛇姫の鱗全員で奪い返しに行くのでそのつもりで』ってね」
急に面と向かってそんなことを言われるとどこか恥ずかしくなり赤くなる。それに気が付いていないのか、彼はこちらに一瞥もくれることなく話を続ける。
「俺はこの1年間すげぇ楽しかった。シリルもウェンディもずっと一緒で、毎日こんなに幸せだったのは初めてかもしれない」
今まで辛い思いや苦労をしてきたからこそ、この時間が楽しく思えたのかもしれない。そう思っていたが、彼は「でも」と言葉を続ける。
「でも、何か違うとも感じた」
「違うって・・・何がよ」
「俺とお前が同じギルドにいること」
前に向かっていた足を思わず止めてしまった。彼の言葉の意味がわからず呆然としていると、彼も立ち止まり小さく笑う。
「お前といるのは楽しかったよ。それは間違いなく俺の本音。でも、俺もシェリアも感じてた。ここにいるお前たちはお前たちであってお前たちじゃない。強いて言うなら、俺たちが知ってるお前たちじゃないんだ」
頭もよくない癖に難しいことを言おうとして自分も何がなんだかわからず頭をかきむしる。彼はしばらく悩んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「俺たちが好きなのは、妖精の尻尾にいるお前たちなんだよ。お前ら的には俺たちといるときも“素”なんだろうけど、どこかギコチなく感じててさ」
そんな風に思っているなんて全然気が付かなかった。俺は妖精の尻尾も蛇姫の鱗《ラミアスケイル》も同じように楽しい。そう思ってたけど、周りから見ればそれは偽りの楽しさでしかないように思われていたらしい。
「それに、あの約束を果たすのに、同じギルドにいると不便だろ?」
ニヤッとイヤらしい笑みを浮かべた彼に思わずムカッと来てしまった。俺とレオン、いずれ力が付いた時に全力でやりあおうと誓ったことは決して忘れていない。
「俺がいないからってサボるなよ、レオン」
「精々ナツさんにお守りでもしてもらうんだな」
そう言って握手を交わす。そして俺はレオンたちの家から自分の荷物を持っ
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