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ドリトル先生と奈良の三山
第一幕その五

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「万葉集については」
「そうですよね」
「そして歴史はね」
 そちらはといいますと。
「奈良の大仏についてだよ」
「あのとてつもなく大きな」
「世界最大の像だね」
「あれについてですね」
「書くんだ」
「あの仏像も凄いですね」
「まるでゼウス像だね」
 先生は笑ってギリシア神話のこの神様の名前を出しました。
「世界七不思議にあった」
「ああ、あの」
「若しくはヘリオス像だね」
 こちらも七不思議のものです、当時途方もないとされていた建築物をこう呼んでいたのです。
「まさに」
「七不思議は紀元前ですが」
「奈良時代から千年は前だけれどね」
「それもあの大仏は凄いですね」
「他の国にはないからね」
「よくあんなものを造れましたね」
「その大仏像を実際に観て」
 そしてというのです。
「その歴史を書いていくよ」
「そうされますか」
「だから奈良市にも行くんだ」
 そうするというのです。
「万葉集で明日香村にも行くし」
「それと奈良県全体の文学や歴史のフィールドワークですね」
「その意味もあるよ」
「それが今後の学問に生きてきますね」
「絶対にね、日本は奈良県のはじまりと言ってもいい場所だから」
「余計にですね」
「じっくりと時間もかけて」
 そうしてというのです。
「学んでいきたいよ」
「フィールドワークをされていきますか」
「そうするよ、それとね」
「それと?」
「三山だね」
 トミーにもこの山達のことをお話するのでした。
「あの山達も見るけれどね」
「奈良県は山が物凄く多いですね」
「そうだよ、前に行った南部はもうね」
「もう山しかなくて」
「人口も極端に少なくてね」
 先生が今回行く奈良県の北部と比べてです。
「物凄く山が多いよ」
「そうした場所ですけれど」
「特に有名な三つの山があるんだ」
「確か」
 トミーも学問をしています、それでその山達のこともある程度にしましても知ってはいるのです。
「耳成山に畝傍山。香具山ですね」
「その三つの山だよ」
「普通山は連なってますよね」
 先生にです、トミーはこうも尋ねました。
「本当に」
「うん、そうだよ」
「それでその三つの山はですね」
「それぞれ一つずつね」
「奈良県の中にあるんでしたね」
「あの盆地の中にね」
 そうだというのです。
「だから余計に目立つんだよ」
「それは本当に不思議ですね」
「自然な山には思えないね」
「そうですね」
 実際にとです、トミーは先生に答えました。
「どう考えても」
「トミーも言ったけれど山は連なっているものだからね」
「一つずつポツンとあるのは」
「自然ではないね」
「全くですね」
「だからね」
 またお話した先生でした。
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