その二十三「季節外れの転校生」
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かったせいで変な所を打っておかしくなったんじゃ……」
それは僕も一瞬、僕も考えてけどさすがに失礼だよ、美希。
「すまない」
一通り笑い終わって満足したっぽい青龍院さんは上にのっているドジラさんをどかしながら起き上がりました。
「このような屈辱的なことをされるのは初めてだったからな、怒りを通り越して可笑しくなってしまったようだ」
あっ、やっぱり怒ってたんだ、あの舌打ち……。
立ち上がって、ポンポンッと制服についたほこりを落としている青龍院さん……ってやっぱり大きい。教室に入って来た姿を見た時も思ったけど、すらっとした体形に背の高さは本当のモデルさんみたい。僕もそこそこはあるはずだけど、それよりも高い。ちょっと羨ましい……かも。
「ん、なんだ」
「……ぁ。いや、その」
目が合っちゃった。……どうしよう。
「君は確か……隣の席の……」
「冬月 密です!」
「冬月か。宜しく頼む」
と、差し出された左手。これはもしかして……
「握手は嫌いか」
「そ、そんなことはないよ、びっくりしただけだからっ」
両手で包み込むようにして、青龍院さんの手を握りしめました。冷たい手。
「君の手は温かくて羨ましいな」
「青龍院さんの手は冷たくて気持ちがいいね」
「なに?」
「今の残暑が厳しい日には必需品だね」
「うわー、ホントっ冷たくて気持ちいいー」
いつの間にか復活していたドジラさんが、後ろから青龍院さんを包み込むようにハグしていました。ほっぺたをすりすりして、女の子同士って結構スキンシップが激しいよね。
「こらっ。あまり近づくなっ」
「本当っす。ミッキーも触ってみるっすよー」
「うん。……冷たっ!?」
「き、貴様らっ」
最初は狼みたいな少し怖い見た目から、怖がられ遠ざけられていた青龍院さん。でもそんなのは僕らの勝手な勘違いだったわけで、本当はちょっぴりお茶目で可愛い女の子でした。
美希たちとじゃれ合っている姿は、本当にただの女の子でした。本気で嫌がっているように見えるのは、
「やめろと言っているだろう。阿呆共!!!」
……気のせいかな。
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