その二十三「季節外れの転校生」
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んな撃沈しました……コワイ。
「じゃあ〜青龍院ちゃんの席は〜〜」
浪川先生は教室の中を見渡すと、
「窓側の一番後ろの席が空いているから、そこに座ってねぇ」
「……はい」
窓側の一番後ろの席……って僕の隣の席だよっ。静かに近づいてきた青龍院さんは無言で僕の隣に座って、
「……よろしくね、青龍院さん」
「…………」
窓の向こう、青い空を見ていました……。
HRが終わってそのまま一時間目の授業が始まってするするぅと時間が過ぎていって、
キーンコーンカーンコーン。
「これで本日の授業は終わります。課題を忘れないように」
「きりーつ、礼、着席」
「「「ありがとうございましたー」」」
一時間目の授業が終わりました。授業の間ずっと……ではないですよ? 左横に座っている青龍院さんを首を動かさず目だけで何度か見てみたのですけど、青龍院さんは授業の間ずっと物憂げな瞳で窓の向こうに広がる青空を見上げていました。……少し悲しそうな、寂しそうな、気持ちになりました。
一時間目と二時間目の授業の間にある10分間の休憩時間。
僕のイメージだと、新しく転校生さんが来た日のこの時間は転校生さんをクラスのみんなが新しく生まれた動物園の赤ちゃんを見に来る人みたいに、わらわら、うじゃうじゃ、集まるものだと思っていたのだけど……。
「…………」
青龍院さんの周り……そして僕たちの周りには誰もいません。……というより横前の席の人すらいません。
僕たちは絶海の孤島に流れ着いてしまった漂流者みたいな扱いを受けています。クラスのみんなは離れたところから青龍院さんを見つめひそひそ話をしているようです。ここから逃げる理由もタイミングも見失った僕はついで。
「ぉーぃ」
ん? 誰かに声をかけられたような気がします。教室の中を見回してみると、
「こっち、こっちっす」
「あ」
声をかけて来ていたのはクラスメイトの足田さんでした。
その傍には美希とドジラさんと下級生くんの姿もあります。美希の席にみんなで集まっているみたいですぅ。
足田さんが手招きしているので、僕もようやく絶海の孤島から逃げ出すチャンス券を手に入れることが出来ました。
……あっ、でも。
「…………」
美希たちのところへ行く前に、振り返り青龍院さんの方を見てみました。彼女は相変わらず窓の外に広がる青空を物憂げな瞳で見つめるまままでした。
「みんな、あつまってどうしたの?」
美希を囲んで集まっていたみんなと合流です。
2年▽組の仲良し5人組の集合ですよ。
「どうっすか」
最初に、口を開いたのは足田さんでした。身をかがめて、僕たちだけに聞こえるように小声で喋っていま
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