第75話 俺と彼女の、甘くも苦い夏の夜
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声色に後ろ髪を引かれ、俺はいつしか彼女の隣に座っていた。
そして、一足先に寝そべっている久水は、恍惚とした表情で俺を見上げ、艶やかな手を俺の腕に絡めてくる。
「元々、あなたと一緒に寝るつもりでこの部屋を指定させましたが……こんなに密着するつもりは、最初はありませんでしたのよ? それを、あなたがあんなタイミングで駆け付けてきて、優しい言葉を掛けたりするから……」
「わ、悪いかよ」
「――ふふ、お顔が真っ赤ざます。ワタクシもきっと、人のことは言えないでしょうけど……」
「……まーな」
――多分、明日になったら救芽井達にシバかれるんだろうなぁ。それこそ、今頃瀕死になっているであろう茂さん並に。
そんなことを考えながら、俺はテレビと電気を消して、久水が置いた枕の上に頭をゆっくりと乗せる。
そして、瞼を閉じ――
「お休み、りゅーたん……」
「……あぁ、お休み。こずちゃん」
――彼女が残した最後の一言に、僅かな驚きと温かな懐かしさを覚えつつ、意識をまどろみに溶かしていった。
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