第74話 四郷先生の恋愛教室
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だけど、救芽井エレクトロニクスに一煉寺さんがいるって知ってからは、梢の気持ちを大事にしたくなったの」
「久水の――気持ち?」
「……梢は、ボクの力を、人が恐がるボクの力を、ただ素晴らしいって褒めてくれた。本当に嬉しかった……。だから、梢のために、出来ることならなんでもしてあげたい。必要なら、命だって」
お、おいおい、なんか果てしなく重い話になって来てません? 命懸けちゃうレベルなのか、それ……。
いや、それより「人が恐がる力」ってどういうことだ? そういえば、初めて彼女らに会った時、恐いお兄さん達を簡単にブチのめしてたみたいだが。
「……だから、決闘が終わった後、一煉寺さんのことを梢から聞いた時……ボクは決めた。梢の想いを、大事にしなくちゃ、って……」
「さっきから言ってるけど、それって何の話?」
「……一煉寺さんはその鈍さで死ねばいいのに……梢がかわいそう」
「な、なんで!?」
とうとう「死ねばいいのに」とか言い出しやがった!? 俺が一体何をしたとッ……!
エグイことを言われたショックの余り、恐がる力云々の話題が頭から吹っ飛んでしまう。ま、後でいいかそれは。
「……まぁ、いいよ。元々、一煉寺さんがそれくらい鈍いから、こうしてボクがここに連れて来たんだし。本当、梢がかわいそう……」
「俺が鈍いとは失敬な。これでも持久走はクラスで二十三位なんだぞ!」
「……そんな微妙過ぎる順位なんて知らない……」
ぐはぁ、俺の自己ベストが「微妙過ぎる」って……。い、いいもん! 俺の本分は持久走じゃないんだもんっ!
……それはひとまず置いておくとして、俺が鈍いから連れて来たってのは、どういうわけなんだ? まずはそこから聞かないと――
「……そんなにわからないなら、単刀直入に言っておく。……梢は、一煉寺さんのことをずっと愛してる」
――はい?
……愛してる? ……愛してる。
――「愛してる」!?
「ちょ、ちょちょ、何を言い出すのかと思えぶぁ!?」
「……思いの外、顔真っ赤。本当に気づいてなかったんだ……」
いやいやいや、待て待て待て!
なんかいきなりとんでもない話題をブチ込まれた気がする! つーかブチ込まれた!
久水が、俺のことを……!?
「……梢は昔からずっと、一煉寺さんを愛してた。それこそ、ボクが妬いちゃうくらいに。だから……救芽井エレクトロニクスの方で、一煉寺さんが救芽井さんの婚約者になっていたことで、梢は酷く悲しんで、怒ってた。自分を忘れて、他の女にちやほやされてた一煉寺さんが、許せなかったから……」
「――忘れてたわけじゃないさ。むしろ、突き刺さるってくらい、覚えてる。救芽井の婚約者ってことになってんのは、いろいろと事情ってもんが――」
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