第73話 長電話は近所迷惑
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って話と関係してるんだろうか? それとも、単に俺達の応援?
「あ、あのさぁゴロマルさん。コンペティションのことについて、もうちょっと詳しい話が聞きたいんだけど」
『ふむ。それなら甲侍郎に聞いた方がいいじゃろな。甲侍郎、代わってやりなさい』
『わかりました、父さん』
げっ!? 甲侍郎さんが出てくるの!? 甲侍郎さんと話すのが何となく怖いから、ゴロマルさんにこの話題を振ったのにッ!
『久しいな、龍太君。娘は元気にしているかね』
「え、ええ。あ、あはは……ご無沙汰してます……」
出た。出やがった。この渋い口調。紛れもなく救芽井の父親、甲侍郎さんだ。
『まず、この度は我々の活動に協力してくれたことを感謝したい。久水家での決闘、実に素晴らしい成長振りだと聞いたぞ』
「は、はぁ、どうも……」
さすが、救芽井との婚約を半ばゴリ押しで決定してしまうような、アグレッシブ極まりないオッサンだ。言ってることは普通にいいことなのに、まるで責められてるような威圧に感じてしまう。
しかし、なんか引っ掛かるな。伊葉さんは決闘の結果を聞いた、ってことを言ってたけど、彼は誰からそれを? 結果を聞いたってことは、実際に決闘を見た人から聞いたってことなんだよな?
救芽井……はケータイ持ってないから論外だし、矢村はああいう人達とはそもそも接点がない。
久水側の人達や四郷とかは……違うだろうな。ほぼ初対面の彼らが、俺が成長したかどうかだなんて、わかるはずがない。当主の茂さんですら、俺の過去を今日まで知らなかったんだから。
「あの、甲侍郎さん。伊葉さんは決闘の結果を、誰から聞いたんですか?」
『……言っても構わないが、それはもう少し待ってもらいたい。変に気にされて、コンペティション本番でのコンディションに支障をきたされても困るからな』
「はぁ……」
だが、思い切って聞いてみても、結局はこうしてはぐらかされて終わってしまう。これ以上追及しても、恐らくはのらりくらりとかわしてしまうつもりなのだろう。
真実を漏らさせられるような話術もない俺には、どうしようもないってわけですかい。
『案ずるな。この先何が起こるとしても、我々は君の味方だ。そのために、私達はここに来た。それだけは、どうか信じてほしい』
「……信じたいですよ。俺としても」
『そんな不愉快そうな声を出すものではない。君は今や、私の義理の息子なのだからな。実の父親だと思って、時には甘えるといい』
俺に結婚を強いる親父はいない。……と言いたいのは山々だけど、応援してくれる気持ちは正直ありがたい。いろいろと不可解なことが起こりまくって、先行きが不安な今だから、なおさら。
だから、せめて素直にこれくらいは言っとこう。
「ありがとう、甲侍郎さん
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