第73話 長電話は近所迷惑
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『ほっほっほ。久しぶりじゃのう龍太君。樋稟との子作りは、もう済ましたかえ?』
「いきなりとんでもねー話題ぶちこんできやがった!?」
『まぁ、お前さんにはまだ早いじゃろうがな。その様子だと、当分はわしが開発した最新鋭避妊装置も必要なさそうじゃの』
「しかも最先端技術で果てしなく無駄なモノ作ってる!?」
久々に会って早々の会話がコレとは……。ご令嬢本人といいこの人といい、救芽井家はなぜこうも極端にピンク色なんだ……!
『まぁ、それはさておき。お前さん、明日には四郷研究所でコンペティションに向かうらしいの』
「え? あ、あぁ、そうだけど……伊葉さんにでも聞いてきたのか?」
『そうじゃ。それから、お前さんがズバッと久水家の当主をやっつけた、という話も聞いたぞい』
なるほど。ゴロマルさんの息子で救芽井のお父さんでもある、甲侍郎さんと伊葉さんは古い知り合いだって聞いた。なら、彼らを通じて、一連の事情がゴロマルさんの耳に入っていても不思議じゃない。
……でも、ちょっと待て。
「そっか――って、あれ? なんでゴロマルさんとの電話が通じるんだ? ゴロマルさんって、確か今は甲侍郎さんや華稟さんと一緒にアメリカ本社にいるんじゃなかったっけ? 確か救芽井が、それっぽいことを言ってたと思うんだけど」
そう。聞くところによると、救芽井家の中で日本に来ているのは、樋稟お嬢様ただ一人、ということらしいのだ。他の家族はみんな、「救芽井エレクトロニクスのアメリカ本社」、という大企業の運営に手が離せない状態らしい。
そんな中で、なんで日本の俺のケータイに、ゴロマルさんからの通話が来るんだ? 俺のケータイって、国際通話には対応してないはずなんだけど……。
『実は先日、来日してきたところでのう。今は甲侍郎との二人で、松霧町の民宿に泊めて頂いておる』
「へー、甲侍郎さんと民宿に。ふーん……?」
――え? 甲侍郎さん?
救芽井エレクトロニクスの、社長が?
「……ちょ、ちょっと待てェェェェッ!」
『むお? どうしたのじゃ?』
「どうしたもこうしたもあるかッ!? 大企業の社長とその親父が会社ほっぽり出して、なんでこんな片田舎にッ!?」
『まぁ、いろいろあってのう。あ、わしらが日本に来とるという話、樋稟にはナイショじゃよ?』
い、意味がわからん。その「いろいろ」のために、会社を放り出してまでここに来たってのか?
救芽井には秘密にしろだなんて言い出すし、もう何がなんだか……。ゴロマルさんのことだから、悪い話だとは思えないけど……。
――でも、俺だって今となってはれっきとした「当事者」なんだから、もう少し詳しい事情ってモンを知りたい。お二方がわざわざ来日してるのは、伊葉さんが言っていた「日本の未来」
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