第72話 女湯強襲揚陸
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あっ!」
「……まだ慌てる時間じゃない。ボク達はまだ、成長が表出していないだけ……」
なんか、比較的大人しかったはずの矢村までもが、壁の向こうで荒ぶり出してるし……もう、なにがなんだか。
「ワ、ワタクシと一煉寺はただの幼なじみざますっ! 別に今はなんでも――あぅん!」
「なんでもないわけ、あぁん、ないじゃない! あなたはどうか知らないけど、んんっ、龍太君はちゃんとあなたを覚えてた! く、悔しいけど……ひうっ、それだけ、あの人はあなたを大事にしてたのよっ! それを頭っから否定するつもりなら、もっともっと激しくしてやるわっ!」
「あ、んふっ! ワ、ワタクシは、ワタクシはっ……!」
……んん? なんだか今、すごく真面目な話を聞いたような気がする。やってることはアレなのに。
――救芽井は救芽井で、俺のことも考えてくれてたってことなのかな。
確かに気がやたら強いってだけじゃなく、フラれたって背景もあるから、久水のことはつい苦手に思いがちだけど、別に嫌いになったわけじゃない。せめて昔のような間柄に仲直り出来れば、って思う。
彼女の方は……どうなんだろうか? もし昔の気持ちを覚えていてくれたなら、俺はそれだけで――
「ムハァァァッ! 最愛の女性と妹の、生まれたままの絡み合い! ワ、ワガハイ、もう辛抱ならぬゥゥゥッ!」
――あのね茂さん。せっかくイイハナシになって来てたのに、やましい叫びでブチ壊しにしないで下さる? さっきとは打って変わって、血眼で壁をよじ登り出したし。
もう勝手に裁かれちまえ! と言いたいのは山々だが、せっかくいいムードになりかけたところへ、湯煙殺人事件の被害者になられても困る。……止めるしかないな。
「待てよ茂さん! 今出てったら――っつーか、いつ出て行っても殺されるぞ!」
「止めないでくれ! どうせ、いつでも彼女を心行くまで堪能できる貴様には、わからないことだ! 例え得るものがないのだとしても、ここで手を伸ばさなくては、ワガハイは何一つ手に入れられぬまま、孤独に老いていってしまうばかりなのだッ!」
うわ……マジだこいつ。壁の切れ目に向かってよじ登りながら、足を捕まえて降ろそうとしている俺に対し、血の涙を流して睨みつけて来る。
やっぱり、一度心に決めた女性というのは、簡単には忘れられないってことなのか? こんなに一途に想ってあげられるなら、あながち救芽井にとっても悪い話では――
「ぐへへへ……ゆえに最期に一つ、たぁ〜っぷりと楽しませてもらおぅ……げへへへ……」
――いや、悪い話だ。つか、最悪だ。こんなのに愛されてたら、そりゃあ救芽井も俺に勝たせようと躍起になるわな……。
「うひゃひゃひゃひゃーッ! ぷるるんおっぱいよ待っておれぇーッ!」
「早ッ!? ヤ
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