第71話 ぷるるんおっぱいが俺を呼ぶ
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。今となっては、資金だけを救芽井家に捧げ、貴様との結婚式が挙げられてしまう瞬間を、指を噛みちぎって見届けることしかできないッ!」
酒は飲んでない様子なのに、言ってることややってることが、まるで娘を嫁に送り出す父親の図だ。決闘に負けて好きな女の子を取られた(ことになってる)上、無条件でスポンサーになる誓約もさせられちゃあ、こうなるのもやむを得ない……のか?
「くわえるどころか噛みちぎる気か!? 頼むから人の人生を勝手に血染めにしないでくれ!」
それでも、やっぱり噛みちぎられるのは御免被りたい。
――そもそも、本当に結婚するかもわからないってのに。この人といい周りといい、何かと性急過ぎるんだよ。
けど、そんなこと口にしたら「貴様は樋稟の愛を弄んだのかァァァ!」とか言い出しそうなんで、まぁ今は何も言わないでおくとしよう。
「はぁ……あのなぁ茂さん、別に世の中、救芽井しか女がいないわけじゃないだろう? 矢村に久水に四郷……俺みたいな田舎者が知ってる分だけでも、それくらいたくさんの可愛らしい女の子がいるんだしさ。もちっと、視野を広げてもいいんでない?」
気がつけば、俺もフラれた友人を慰めるかのようなことを抜かし始めていた。あるぇ? 元々こんな話だったっけ?
「ぐすっ、ぐひっ……! だ、だが、この久水茂、ただでは散らぬ……。どうせ叶わぬ恋だというのであれば!」
悪酔いでもしたかのように、しばらく真っ白なテーブルクロスに突っ伏して、むせび泣いていた茂さん。そこにちょっと慰めの言葉を掛けてみた途端、まるでそれがスイッチだったかのように、ガバッと身を起こして来なすった!
「う、うお!? どど、どうした!?」
「かくなる上は――貴様が云うところの、天使達の舞い踊る桃源郷にて、壮絶に散ってくれようぞ!」
な、なんだそりゃ!?
俺は「天使達」なんてロマンチストな台詞は、一度たりとも吐いた覚えは……!
――あ、まさか。
俺がその意味を察した瞬間、茂さんは脱兎の如く、会食室を猛ダッシュで離脱した。は、速い!
「フハハハハ! せいぜい悔しがるがいい、一煉寺龍太ァッ! 生まれたばかりの樋稟の麗しき姿を、最期にこの眼へ刻んでくれようぞォォォォッ!」
「最高に最低な散り様キタァァァァッ!?」
なんだ最期に刻むって! ちょっと言い回しがカッコイイからごまかされてる気がするけど、それってただの覗きだからな!?
――い、いかん! このままほっといたら、マジで救芽井達に粛正されかねん! ガチで俺の人生が、コイツの血で朱く染められてしまうッ!
そんな放送禁止ワッショイな事態になんぞ、させてたまるもんですか!
俺は一拍遅れて席を立ち、状況が見えずにポカンとしている使用人一同
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