第71話 ぷるるんおっぱいが俺を呼ぶ
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様がいかにして選ばれ、いかにして今に至るか。貴様が妹に追い回されている間にな」
俺が紅茶を飲み干したのを確かめると、茂さんは真剣な眼差しで俺を見据えてきた。やっぱり仲良しになれるような雰囲気ではなさそうだが……今までのような見下した視線でもなかった。
「『技術の解放を望む者達』、そして『呪詛の伝導者』……古我知剣一の主張……どれもにわかには信じがたい話ではあったが、樋稟が直々に語る姿を疑うわけにもいかない。……梢も、信じられない、という顔をしていた」
「あー、そ、そう? 俺もあの時のコトは、白昼夢みたいにしか思えない時もあったよ。正直、自分が大事に関わってるなんて、考えてもみなかったんだし。俺はただ、救芽井のお手伝いをして仲直りがしたかっただけなんだ」
「……その『仲直りがしたかっただけ』の貴様にッ! 樋稟は身も心も虜にされたというのかッ!」
何か壮大な買い被りをされてる気がしたので、当時の心境をバカ正直に並べてみたのだが……どうやら、火に油を注いでしまったらしい。
彼は悔しげに唇を噛み締めると、テーブルを思い切り両手で叩き、俺が使っていたカップをガチャリと揺らした。周りの使用人達もどう対応すべきかわからず、おろおろしている。
「……我が久水家は、常に時代に選ばれし才女を花嫁に迎えてきた。その伝統に則るならば、ワガハイの伴侶となる女性は、彼女以外には考えられなかったのだ」
「――それが、救芽井に言い寄った理由?」
「それだけではない。彼女の麗しさ、ヒーローとしての気高さ、その全てに、ワガハイは心を奪われた。初めて会った時、世界に愛される理由に気づかされたよ」
「……そっか」
第一印象が第一印象だから、俺にはイマイチよくわからないが……やはり世の男達から、盛んに求愛されるだけの女性ではあるらしい。彼女は。
けど、茂さんが割と真剣に救芽井のことを想ってたのには、ちょっと安心した。金目当てで近づくような奴だったりしたら、あの決闘に負けた時のことが心配でしょうがなかったからな。
「ワガハイは彼女を手に入れるため、あらゆる手を尽くした。本来、警察組織の中でもエリートクラスの者しか所有が許されていない『G型』を手に入れるために、警察内での所有者を決める大会に飛び入り参加したくらいでな」
「救芽井エレクトロニクスに近づくために、そこまで?」
「……それくらいのことが出来なければ、既に決められていたという婚約者――すなわち貴様を超えることなど、できないと判断していたからな」
ジロリと睨まれ、思わず肩を竦めてしまう。俺なんぞのために、イロイロとお疲れ様です……。
「だが……やっとの思いで『G型』を手に入れても、スポンサーになるという条件を持ち出しても、とうとう彼女を手にすることは叶わなかった……
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