第70話 安寧なんて、なかった
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、戦意もクソもあったもんじゃないはずだ。
「ぐ、ぐうっ……くそ、くそ、くそぉっ! なぜだ!? どうしてこんなっ……」
「さぁな。汚いマネしたバチが当たったんじゃないか?」
「ひ、卑怯だぞ! そんな超高性能な着鎧甲冑を使うなんて! それ程のモノを使えれば、誰だって……!」
「実に今さらな台詞が出てきやがった……。つか、あんたの攻撃の読み易さに関しちゃ、性能以前の話だと思うがな」
「ふざけるな! 全てその『救済の超機龍』のおかげだろう! そうでなければ、このワガハイが、この久水茂が、こんな無様なままで終わるはずがァァァァッ!」
俺の足元に、仰向けで倒れていた茂さんは、息を吹き返すように起き上がりながら奇襲を仕掛けて来る。懐から伸びてきた電磁警棒が、予想を遥かに上回るスピードで襲い掛かってきた!
――って、まだ抵抗する気満々かい! このままじゃラチがあかないぞ……。
「うおっ……と! ――その速さだけはめっけもんだよ、あんた」
「ふ、ふふ、ふ。そうだ、今のうちに負けを認めて、『救済の超機龍』と樋稟をワガハイに渡すがいい。さもないと、今度こそ貴様の最期が来るぞ……!」
「悪いがそうはいかない。こっちは四郷研究所とのコンペも仕えてんだ、さっさとおしまいにさせてもらう」
そろそろ、程よい運動のおかげで、胃の調子もよろしくなってきたことだしな。……もうここらが、潮時だろう。
「――バカにするのも、大概にしろォォーッ!」
俺の挑発に、「面白い程」を通り越して「可哀相な程」引っ掛かって来る茂さんに対し、スッと身構える。向こうは怒る余り、俺が構えていることも気に留めず、さながら槍のように電磁警棒を突き出してきた。
「……ハアアッ!」
そして、腹の奥から吐き出した息と共に放たれた待ち蹴が、再び彼の水月に突き刺さった。そこで彼の進撃は止まり、反動でG型のボディが一瞬浮き上がる。
「ごはっ!?」
「――得物を使うのは結構だが、相手が少々よろしくなかったな」
衝撃と痛みのあまり、茂さんの体がくの字に曲がる。その隙を見計らい、俺は手刀で彼の電磁警棒を払い落とした。
「あっ、ぐ……くく、くそぉっ!」
「おっと、この状況で拾えるつもりか?」
四肢の自由を奪われたかのようにもたつきながら、茂さんは震える手を得物へ伸ばそうとする。俺はその手の四本の指を、容赦なく掴んだ。
そして、そこから捩上げるように、指から彼の腕を捻っていく。
「ん、ぎぃい!?」
「――龍華拳、木葉返」
自分の四本の指を捩られ、たまらず茂さんの体は、それに釣られるように回転してしまう。まるで、バレリーナのように。
……そして、回転が終わった時には、彼は俺の手前で膝をついていた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ