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フルメタル・アクションヒーローズ
第69話 俺は青春が少ない
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った次男に、最低限の拳法で、命に関わる戦いに送り込んでたんだから」
『お前としては、今の龍太が自分の手を離れても大丈夫かどうかを見極める、又とない機会だったのだろうがな』

 完全に会話の内容は把握できないけど……どういう話をしてるのかはおおよそ察しがつくな。
 もしかしたら、この一年間の特訓の意味に繋がってるのかも……?

「……撃たれたあいつが、医療カプセルにぶち込まれて運ばれてきた時、確信したんだ。今のままじゃ、龍太を一人にさせるわけにはいかない。このままじゃ、いつか龍太が死んじまう……ってさ」
『――お前の話を最初に聞いた時は、まさかと思ったが……あの子の傷痕を見てからは、全て信じざるを得なかった。まさかあの龍太が、これほどの傷を負うような戦いをするようになってしまったとはな』
「ああ。その戦いの原因に繋がってる人達と関わった以上、今後一切、あの時のようなことが起こらないとは言い切れない。あいつのことだから、もし助けてと言われたら、どんなに無茶苦茶してでも突っ込んで行くだろうしな」
『それがあの子の良いところではあるが……危険な面でもある。自分の安全を計算に入れない、余りにも愚直な節があるからな。――だからお前は、決めたのだろう? 龍太に、一煉寺家の技を全て叩き込む、と』
「……そうだ。俺ももうすぐいなくなるし、道院も当分は閉鎖することにした。今の俺に兄貴として出来るのは、自分が知ってる技の全てを叩き込むだけだ。厳しくしなくちゃいけないし、龍太にとっても辛いことだと思うけど……。それでも、俺は――俺達は、本当の意味であの子を守るために、伝えるべき力を伝えなきゃいけないんだよ」

 ……なるほど、ね。そういうことでしたか。
 そりゃあ、あんな無茶苦茶してたら心配だって掛けるわな。もうあんな事件が起きても、撃たれるなんてヘマをしないための特訓だったわけか。

 ――全部、俺のためだったんだな。

『お前の言うことは、よくわかった。悔いだけは残さぬよう、気が済むまで「身を守り、生き延びる」ための拳法を教えてやれ。それが、今の俺に言える全てだ』

「ああ……ありがとう、親父」

 最後にしっとりと落ち着いた声でお礼を言い、兄貴は通話を切った。ガチャリと受話器を置く音が聞こえたから、多分その解釈で間違いない。
 俺は兄貴に立ち聞きしていたことを気取られないよう、そっと自室に引き返し……胴衣をクローゼットから取り出した。

 ――何を話してたかは知らないが、何となく俺が「守られてる」って感じの状態だということはわかった。
 クソ強い兄貴が近くにいるんだから、まぁ仕方のないことなのかも知れないが……それでも、俺は男だ。
 もうじき高二になる、って歳にもなって、ベタベタと兄貴にくっついてないと生きられないような奴に
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